妊娠中にStenotrophomonas maltophiliaによる菌血症を発症した妊娠悪阻の一例

妊娠悪阻が長期化する妊婦において,輸液療法によるカテーテル関連血流感染症を発症することが報告されている.Stenotrophomonas maltophilia(S.maltophilia)は,院内感染の原因となる多剤耐性菌である.妊娠悪阻で輸液療法中にS.maltophiliaによる菌血症を発症した一例を経験した.症例は36歳の初産婦で,妊娠5週より悪阻を発症し,妊娠6週から12週,妊娠14週から16週にわたって2度の入院による輸液療法を行った.妊娠18週0日に悪阻症状の悪化により3度目の入院となった.妊娠19週0日に39度の発熱を認め,翌日には自然に解熱したが,S.maltophiliaが...

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Veröffentlicht in:日本周産期・新生児医学会雑誌 2020, Vol.56(1), pp.193-197
Hauptverfasser: 中西, 研太郎, 川口, 晴菜, 石井, 桂介
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:妊娠悪阻が長期化する妊婦において,輸液療法によるカテーテル関連血流感染症を発症することが報告されている.Stenotrophomonas maltophilia(S.maltophilia)は,院内感染の原因となる多剤耐性菌である.妊娠悪阻で輸液療法中にS.maltophiliaによる菌血症を発症した一例を経験した.症例は36歳の初産婦で,妊娠5週より悪阻を発症し,妊娠6週から12週,妊娠14週から16週にわたって2度の入院による輸液療法を行った.妊娠18週0日に悪阻症状の悪化により3度目の入院となった.妊娠19週0日に39度の発熱を認め,翌日には自然に解熱したが,S.maltophiliaが血液培養から認められた.感染源は特定できなかったが,カテーテル関連血流感染症が疑われたため,レボフロキサシンの静脈内投与を5日間行い治癒した.妊娠37週2日に経腟分娩に至った.S.maltophiliaは高い死亡率を認めるため,速やかな抗菌薬治療が肝要である.
ISSN:1348-964X
2435-4996
DOI:10.34456/jjspnm.56.1_193