ニホンカモシカにおけるなわばり行動の観察頻度の季節性
これまでの研究により,ニホンカモシカCapricornis crispusは雌雄ともに同性個体間でなわばり性を発揮し,なわばり行動である激しい追いかけによって同性個体に対し行動圏のほぼ全域を防衛することが明らかにされている.ニホンカモシカのなわばり性に関する今後の地域間比較に資するため,従来検討されたことのないなわばり行動の季節性について取りまとめた.青森県下北半島において1976年3月から2015年10月の期間に断続的に1,263日の調査を実施し,識別個体の行動を直接観察した.25例(オス同士20例,メス同士5例)の激しい追いかけが4月を除いた各月に観察された.調査日数に対する激しい追いかけ...
Gespeichert in:
Veröffentlicht in: | 哺乳類科学 2023, Vol.63(1), pp.95-102 |
---|---|
Hauptverfasser: | , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Schlagworte: | |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | これまでの研究により,ニホンカモシカCapricornis crispusは雌雄ともに同性個体間でなわばり性を発揮し,なわばり行動である激しい追いかけによって同性個体に対し行動圏のほぼ全域を防衛することが明らかにされている.ニホンカモシカのなわばり性に関する今後の地域間比較に資するため,従来検討されたことのないなわばり行動の季節性について取りまとめた.青森県下北半島において1976年3月から2015年10月の期間に断続的に1,263日の調査を実施し,識別個体の行動を直接観察した.25例(オス同士20例,メス同士5例)の激しい追いかけが4月を除いた各月に観察された.調査日数に対する激しい追いかけの観察頻度は,オス同士(1.6回/100日)の方がメス同士(0.4回/100日)より有意に高かった.隣接してなわばりを持ち合う成獣同士の激しい追いかけでは,交尾期である秋に追いかけの観察頻度が高いという季節性が認められた.これに対し,なわばりを持つ成獣がなわばりを持たない成獣ないし若齢個体に対して行う激しい追いかけでは,観察頻度に季節性は認められなかった. |
---|---|
ISSN: | 0385-437X 1881-526X |
DOI: | 10.11238/mammalianscience.63.95 |