ニホンカモシカにおける眼下腺こすりの頻度の季節変化

ニホンカモシカCapricornis crispusの眼下腺こすりの機能を解明する一環として,青森県下北半島において1979年7月から1986年8月までの間に識別個体の行動を435日直接観察し,眼下腺こすりの頻度の季節変化を明らかにした.眼下腺こすりの頻度の季節変化については季節別にまとめた筆者による過去の報告があり,本報告ではこの過去の結果に未発表データを新たに加え,頻度の季節変化を月別に示した.過去の報告では成獣メスより成獣オスの方が眼下腺こすりを頻繁に行うこと,雌雄ともに交尾期である秋に頻度が高まり冬に低くなること,1・2歳の若齢個体はほとんど行わないことが明らかにされている.これらの既...

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Veröffentlicht in:哺乳類科学 2022, Vol.62(1), pp.55-59
Hauptverfasser: 落合, 啓二, 須崎, 加代子
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:ニホンカモシカCapricornis crispusの眼下腺こすりの機能を解明する一環として,青森県下北半島において1979年7月から1986年8月までの間に識別個体の行動を435日直接観察し,眼下腺こすりの頻度の季節変化を明らかにした.眼下腺こすりの頻度の季節変化については季節別にまとめた筆者による過去の報告があり,本報告ではこの過去の結果に未発表データを新たに加え,頻度の季節変化を月別に示した.過去の報告では成獣メスより成獣オスの方が眼下腺こすりを頻繁に行うこと,雌雄ともに交尾期である秋に頻度が高まり冬に低くなること,1・2歳の若齢個体はほとんど行わないことが明らかにされている.これらの既往結果は本結果でいずれも再確認され,例えば雌雄の違いに関しては年平均にして成獣オスは成獣メスの2.5倍の頻度で眼下腺こすりを行った.これら過去の知見の再確認に加え,本結果では眼下腺こすりは雌雄ともに秋だけでなく春にも頻度が高いこと,秋の頻度の増加は成獣メスより成獣オスにおいて顕著であること,冬の頻度の低下は厳冬期に当たる2月に最も顕著であること,眼下腺こすりと認められる行動の発現が3月の当年子において初めて観察されたことが新たに明らかとなった.
ISSN:0385-437X
1881-526X
DOI:10.11238/mammalianscience.62.55