「奄美大島と徳之島におけるノネコ対策緊急実施についての要望書」(日本哺乳類学会2015年提出) のその後の進捗と課題

「はじめに」日本哺乳類学会は2015年1月5日付で環境大臣と鹿児島県知事宛に「奄美大島と徳之島におけるノネコ対策緊急実施についての要望書」を提出した. 環境省からの回答書と一部対応はあったが, 大きな進展はない(URL : http://www.mammalogy.jp/doc/20150225.pdf ; 2017年12月9日確認). ノネコは, 家畜で愛玩動物のイエネコFelis catusの野生化個体で, 最も身近な外来捕食性哺乳類である. ノネコは「鳥獣保護管理法」の狩猟対象種であり, 環境省による「生態系被害防止外来種リスト」では緊急対策外来種に選定されている. 一方, 飼いネコは, 特定の飼い主に飼育管理されている個体であり, 「動物愛護法」の対象で適正飼養が求められる. しかし, ノネコでも飼いネコでもない, 特定の飼い主がなく, 人や人間生活に依存するネコ(いわゆる「ノラネコ」)の存在が, ノネコ対策を複雑にしている.