哺乳類と放射能汚染―今後の研究と対策

「はじめに」 東日本大震災に伴う東京電力福島第一原発事故の暫定レベルは, 国際原子力事象評価尺度で最も高いレベル7(深刻な事故)に分類される. 26年前の1986年にソビエト連邦(現:ウクライナ)で起こり, 同じレベルに分類されたチェルノブイリ原発事故によるフォールアウトは, ヨーロッパに広範囲な放射能汚染を引き起こし, 気候条件によっては汚染の高いホットスポットを作りだした. 事故直後は, 放射性ヨウ素131Iが大きな問題だが, その半減期が8日と短いために短時間で大きく減少し, 中期的には, 半減期の長い放射性セシウム134Csや137Cs(それぞれ2.1年と30.1年), 長期的には13...

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Veröffentlicht in:哺乳類科学 2013, Vol.53(1), pp.193-196
Hauptverfasser: 仲谷, 淳, 山田, 文雄, 小川, 秀樹, 溝口, 俊夫, 長谷川, 元洋, 堀野, 眞一, 安藤, 貞
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:「はじめに」 東日本大震災に伴う東京電力福島第一原発事故の暫定レベルは, 国際原子力事象評価尺度で最も高いレベル7(深刻な事故)に分類される. 26年前の1986年にソビエト連邦(現:ウクライナ)で起こり, 同じレベルに分類されたチェルノブイリ原発事故によるフォールアウトは, ヨーロッパに広範囲な放射能汚染を引き起こし, 気候条件によっては汚染の高いホットスポットを作りだした. 事故直後は, 放射性ヨウ素131Iが大きな問題だが, その半減期が8日と短いために短時間で大きく減少し, 中期的には, 半減期の長い放射性セシウム134Csや137Cs(それぞれ2.1年と30.1年), 長期的には137Csが重要となる. チェルノブイリ居住禁止区域内の動物の状況は, 事故後数ヶ月から数年で急速に変化したが, その後, 疑似安定化したとされる(IAEA 2006). 現在, 周辺地域では, 人間不在で野生動物の数が増加していると言われる(イノシシSus scrofa, ノロジカCapreolus capreolus, オオカミCanis lupusなど)(National Report of Ukraine 2006).
ISSN:0385-437X
1881-526X
DOI:10.11238/mammalianscience.53.193