かたちの学校14 骨内部構造からみる生態およびその進化

2009年のかたちの学校では, 骨のかたちを断面から理解する方法-骨組織学(bone histology)に焦点を絞り, その生態学および古生態学における活用について最新データを交えて発表し, 議論を行った. 骨は骨形成速度の変化によってその微細構造を変化させることが知られているため, 個体成長に伴って付加的に成長する骨の断面からは, 骨組織の種類や成長輪などを成長の記録として解析することが可能である. これは骨組織学の"生理学的側面"であるといえる. また, 骨組織は, 動物の生活様式や, そのなかで骨が果たす役割によっても内部構造を適応的に変化させることが知られている....

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Veröffentlicht in:哺乳類科学 2010, Vol.50(1), pp.87-89
Hauptverfasser: 遠藤, 秀紀, 中島, 保寿, 林, 昭次
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:2009年のかたちの学校では, 骨のかたちを断面から理解する方法-骨組織学(bone histology)に焦点を絞り, その生態学および古生態学における活用について最新データを交えて発表し, 議論を行った. 骨は骨形成速度の変化によってその微細構造を変化させることが知られているため, 個体成長に伴って付加的に成長する骨の断面からは, 骨組織の種類や成長輪などを成長の記録として解析することが可能である. これは骨組織学の"生理学的側面"であるといえる. また, 骨組織は, 動物の生活様式や, そのなかで骨が果たす役割によっても内部構造を適応的に変化させることが知られている. このような適応とその進化を理解することは, 骨組織学の"機能解剖学的側面"であるといえる. 骨内部構造と動物の生理・生活との関係を明らかにすることは, 近年, 化石動物への応用という形で新たな局面を迎えている. 脊椎動物の化石といえるものの圧倒的大多数は硬組織すなわち骨と歯であるが, 骨化石にも血管腔(オステオン), 骨梁, 成長輪はおろか, 骨小腔, 骨細管, コラーゲン線維の方向性といったミクロな構造が保存されていることは珍しくない.
ISSN:0385-437X
1881-526X
DOI:10.11238/mammalianscience.50.87