堅果とアカネズミとの関係―タンニンに富む堅果をアカネズミが利用できるわけ

「はじめに」現在では, 実験室とフィールドの双方を働きの場とすることは, 日本の哺乳類研究においても珍しいことではなくなった. フィールドでの観察を通じて, 私たちは生物の生態に関して様々な疑問を持つ. しかし, フィールドでの観察や野外実験のみに基づいて明確な「答え」に至ることは, 現実的には非常に困難である. 多様なコントロールしきれない要素が雑音となるために, 対立仮説を排除することができず, いくつかの可能性を示唆するに留まってしまうことが多いのではないだろうか. 飼育下の動物を用いて研究を行うことの最大の利点は, 「雑音」を制御した環境において動物の行動や反応を観察し, それを高い精...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:哺乳類科学 2008, Vol.48(1), pp.155-158
1. Verfasser: 島田, 卓哉
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:「はじめに」現在では, 実験室とフィールドの双方を働きの場とすることは, 日本の哺乳類研究においても珍しいことではなくなった. フィールドでの観察を通じて, 私たちは生物の生態に関して様々な疑問を持つ. しかし, フィールドでの観察や野外実験のみに基づいて明確な「答え」に至ることは, 現実的には非常に困難である. 多様なコントロールしきれない要素が雑音となるために, 対立仮説を排除することができず, いくつかの可能性を示唆するに留まってしまうことが多いのではないだろうか. 飼育下の動物を用いて研究を行うことの最大の利点は, 「雑音」を制御した環境において動物の行動や反応を観察し, それを高い精度で測定できるということである. そのため, 明確な目的を持って実験の設定を行えば, 仮説検証型の研究を行うことが可能となる. その一方で, 飼育下での発見は, 常にフィールドにおける蓋然性を問われる. 実験室で起きたことがフィールドでも起こるとは限らないし, 実験条件下で検出される微細な違いがフィールドにおいて重要な意味を持つとは限らないからである.
ISSN:0385-437X
1881-526X
DOI:10.11238/mammalianscience.48.155