実験的環境改変がニホンザル(Macaca fuscata)の行動圏利用に与える影響
「はじめに」人里に近い森林管理の衰退によって, 20世紀後半ニホンザルは人間の生活圏内外に新しい快適な生息環境を見出した. たとえば, 猟師が減り猟犬のいなくなった里山は, サルにとって恐れるべきもののない餌場となった. また, 中山間地域の集落を取り囲む裏山の, かく乱された二次林, 手入れの行き届かない造林地, 好光性の植物が勢いよく繁茂する河岸や林緑は, ニホンザルがもともと好んで利用する環境である. 天然林の伐採によってサルの生息地が失われたことは事実であるが, そこで死に絶えることなく, 新たな環境に適応していける柔軟さが, ニホンザルには備わっている(大井・増井, 2002). サ...
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Veröffentlicht in: | 哺乳類科学 2006, Vol.46(1), pp.63-64 |
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Hauptverfasser: | , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「はじめに」人里に近い森林管理の衰退によって, 20世紀後半ニホンザルは人間の生活圏内外に新しい快適な生息環境を見出した. たとえば, 猟師が減り猟犬のいなくなった里山は, サルにとって恐れるべきもののない餌場となった. また, 中山間地域の集落を取り囲む裏山の, かく乱された二次林, 手入れの行き届かない造林地, 好光性の植物が勢いよく繁茂する河岸や林緑は, ニホンザルがもともと好んで利用する環境である. 天然林の伐採によってサルの生息地が失われたことは事実であるが, そこで死に絶えることなく, 新たな環境に適応していける柔軟さが, ニホンザルには備わっている(大井・増井, 2002). サルの問題を考えるときに, 天然林のことだけを論じても問題は解決しない. かつて動物と人間の生息地を隔てていた, バッファーゾーンとしての里山管理や農業を再構築する, あるいはそれに代わる手段が必要とされている. |
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ISSN: | 0385-437X 1881-526X |
DOI: | 10.11238/mammalianscience.46.63 |