食肉目調査にかかわる保定技術

「はじめに」保定は捕獲に続く重要な工程であり, 動物の動きを制御する物理的保定と, 化学物質すなわち麻酔薬によって生理的に動きを抑制する化学的保定に分けられる. 後者は麻酔薬による不動化あるいは化学的不動化とも呼ばれる. 対象動物を再び野外に戻す野生動物調査においては, 捕獲の後に必ず保定が続く. そのため, 前章「食肉目調査にかかわる捕獲技術」(金子・岸本, 2004)に記載された捕獲の三原則と作業準備スケジュール等は, そのまま保定においても引き続き念頭におくべき重要事項として位置づけられる. また, 捕獲をめぐる情報と同様, 保定とその後動物を野外へ戻すまでの手順や注意点は, 日本ではヒ...

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Veröffentlicht in:哺乳類科学 2005, Vol.45(2), pp.237-250
Hauptverfasser: 岸本, 真弓, 金子, 弥生
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「はじめに」保定は捕獲に続く重要な工程であり, 動物の動きを制御する物理的保定と, 化学物質すなわち麻酔薬によって生理的に動きを抑制する化学的保定に分けられる. 後者は麻酔薬による不動化あるいは化学的不動化とも呼ばれる. 対象動物を再び野外に戻す野生動物調査においては, 捕獲の後に必ず保定が続く. そのため, 前章「食肉目調査にかかわる捕獲技術」(金子・岸本, 2004)に記載された捕獲の三原則と作業準備スケジュール等は, そのまま保定においても引き続き念頭におくべき重要事項として位置づけられる. また, 捕獲をめぐる情報と同様, 保定とその後動物を野外へ戻すまでの手順や注意点は, 日本ではヒグマの麻酔(Tsubota et al., 1991;Tsuruga et al., 1999)以外発表された論文がなく, 経験談として伝聞される場合が多かった. さらに食肉目の保定では麻酔を用いる場合がほとんどであるが, 薬品やその取り扱いをめぐる状況が国によって異なることから, 海外で実績が上がっているPond and O'Gara(1994)やKreeger(2002)などの方法をそのまま取り入れられない場合も多い.
ISSN:0385-437X
1881-526X
DOI:10.11238/mammalianscience.45.237