小児のディスペプシア症状に対するH.pylori除菌療法の有効性

「要旨」: 機能性ディスペプシア(Functional dyspepsia : FD)は基礎疾患に依らない慢性的な心窩部症状を呈する疾患である. 成人領域ではピロリ菌感染に付随するディスペプシアはH.pylori関連ディスペプシア(H.pylori-associated dyspepsia : HpD)と呼ばれているが, 小児期の消化器症状とピロリ菌感染との関連性については否定的なエビデンスが多い. 実際に, 小児におけるピロリ菌感染症の多くは無症状で, 消化器症状の発生リスクを増大させない. 一方, ピロリ菌感染を伴うFD小児に対する除菌治療の症状軽減効果については十分に検証されていない....

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:Progress of Digestive Endoscopy(2001年から) 2022-06, Vol.100 (1), p.22-26
Hauptverfasser: 幾瀬圭, 佐藤真教, 新井喜康, 神保圭佑, 工藤孝広, 清水俊明
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:「要旨」: 機能性ディスペプシア(Functional dyspepsia : FD)は基礎疾患に依らない慢性的な心窩部症状を呈する疾患である. 成人領域ではピロリ菌感染に付随するディスペプシアはH.pylori関連ディスペプシア(H.pylori-associated dyspepsia : HpD)と呼ばれているが, 小児期の消化器症状とピロリ菌感染との関連性については否定的なエビデンスが多い. 実際に, 小児におけるピロリ菌感染症の多くは無症状で, 消化器症状の発生リスクを増大させない. 一方, ピロリ菌感染を伴うFD小児に対する除菌治療の症状軽減効果については十分に検証されていない. 当院の小児FD症例の中にもHpDに相当するサブグループが存在する. 十分なエビデンスを構築し, このサブグループにおける適正な診断・治療の手順, 内視鏡検査の適応, 心理的なサポート方法などを確立することが必要である.
ISSN:1348-9844