カプセル内視鏡で診断し得たHenoch-Schönlein紫斑病の1例

「はじめに」 Henoch-Schonlein紫斑病(以下, HSP)は一般的に小児に多くみられる疾患であり, 成人発症例は罹患率全体の5%程度である. 今回我々は, HSPに対しカプセル内視鏡を用いて診断し, 病態の把握を行えた貴重な1例を経験したため報告する. 「症例」 患者 : 50歳代, 男性. 主訴 : 血便. 家族歴 : 父親 血小板減少性紫斑病. 既往歴 : 高血圧, 蜂窩織炎. 内服歴 : アムロジピンベシル酸塩5mg/day. 生活歴 : 喫煙歴・飲酒歴なし. 現病歴 : 2011年1月咽頭痛, 下腿・手背の紫斑が出現し, 1週間改善を認めなかった. その後, 関節痛, 下痢が出現した. 1週間後に当院皮膚科を紹介受診し, 紫斑病疑いとなった. 翌日に大量血便を認めたため, 当科受診となった. 来院時現症 : 身長179cm, 体重68kg, 体温36.4℃, 血圧123/73mmHg, 脈拍86回/分, 意識清明.