大腸内視鏡検査(粘膜切除)にて直腸癌と鑑別に苦慮した孤立性直腸潰瘍症候群の1例

「はじめに」孤立性直腸潰瘍症候群(solitary ulcer syndrome of rectum)は直腸に好発しする比較的稀な疾患である. その形態は単発の潰瘍から多発性潰瘍のこともあり, また隆起型を示すこともあって, 時として直腸癌との鑑別を要す. 今回数年後に隆起型を呈し, 粘膜切除にて直腸癌と鑑別しえた孤立性直腸潰瘍症候群の1例を経験したので報告する. 「症例」症例:40歳, 男性. 主訴:なし. 家族歴, 既往歴:特記すべきことなし. 排便習慣:特に便秘がちということはないが, 排便時間が5分以上と長い傾向にあった. 現病歴:平成9年9月, 便潜血陽性を指摘され, 近医を受診して...

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Veröffentlicht in:Progress of Digestive Endoscopy 2003-05, Vol.62 (2), p.128-130
Hauptverfasser: 永嶋裕司, 沖浜裕司, 松田健, 平本義浩, 前田昭太郎, 江上格, 田尻孝
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「はじめに」孤立性直腸潰瘍症候群(solitary ulcer syndrome of rectum)は直腸に好発しする比較的稀な疾患である. その形態は単発の潰瘍から多発性潰瘍のこともあり, また隆起型を示すこともあって, 時として直腸癌との鑑別を要す. 今回数年後に隆起型を呈し, 粘膜切除にて直腸癌と鑑別しえた孤立性直腸潰瘍症候群の1例を経験したので報告する. 「症例」症例:40歳, 男性. 主訴:なし. 家族歴, 既往歴:特記すべきことなし. 排便習慣:特に便秘がちということはないが, 排便時間が5分以上と長い傾向にあった. 現病歴:平成9年9月, 便潜血陽性を指摘され, 近医を受診して, 直腸Rbの変形を指摘され当院紹介となる. 精査のため大腸内視鏡を施行した. 初診時の大腸内視鏡像:直腸Rbに浅い孤立性の潰瘍を認めた. 生検で悪性所見は認められなかった(Color 1). 外来経過:その後, 放置していたが, 平成13年5月便潜血陽性を指摘されて再来し, 注腸X線検査および大腸内視鏡検杏を施行した. 注腸X線検査:直腸Rbに約1cmの陥凹性病変を認めた. 境界は軽度隆起していた(Fig. 1). 大腸内視鏡検査:直腸Rbに潰瘍性病変を認めた(Color 2). 潰瘍は前回に比し増悪し, 境界も軽度不整に隆起していたため, 直腸癌も念頭に入れ, 平成13年5月, 6月に, 2回の生検を行ったが好中球浸潤と肉芽形成を背景に細胞異型を認めたが(Group 3)明らかな悪性所見はみられなかった.
ISSN:1348-9844