乳癌胆嚢転移による急性胆嚢炎に対し,早期腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した1例

症例は50歳女性.左乳癌術後(41歳,pT1N0M0 Stage I.ER(+),PgR(+),HER2(3+)),多臓器転移再発に対して化学療法中であった.増悪する上腹部痛を自覚し,血液検査及び画像検査から軽症急性胆嚢炎と診断した.乳癌の病勢も安定しており,耐術可能であったため,腹腔鏡下胆嚢摘出術の方針とした.胆嚢は頸部に白色結節を認め,高度に緊満していた.胆嚢管断端は腫瘍浸潤により内腔が途絶し,病理所見として,胆嚢頸部の全層に癌細胞の浸潤を認めた.免疫染色で癌細胞はER(+),PgR(+),HER2(-)であり,乳癌の転移と診断された.術後6日目に退院となり,術後1年10カ月現在,健在であ...

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Veröffentlicht in:胆道 2021/05/31, Vol.35(2), pp.168-174
Hauptverfasser: 野津, 新太郎, 菅原, 秀一郎, 岡﨑, 慎史, 元井, 冬彦
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は50歳女性.左乳癌術後(41歳,pT1N0M0 Stage I.ER(+),PgR(+),HER2(3+)),多臓器転移再発に対して化学療法中であった.増悪する上腹部痛を自覚し,血液検査及び画像検査から軽症急性胆嚢炎と診断した.乳癌の病勢も安定しており,耐術可能であったため,腹腔鏡下胆嚢摘出術の方針とした.胆嚢は頸部に白色結節を認め,高度に緊満していた.胆嚢管断端は腫瘍浸潤により内腔が途絶し,病理所見として,胆嚢頸部の全層に癌細胞の浸潤を認めた.免疫染色で癌細胞はER(+),PgR(+),HER2(-)であり,乳癌の転移と診断された.術後6日目に退院となり,術後1年10カ月現在,健在である.今回乳癌術後多臓器転移再発のため化学療法中,急性胆嚢炎を契機に診断された乳癌胆嚢転移症例を経験した.乳癌胆嚢転移は稀であり,若干の文献的考察を加え報告する.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando.35.168