肝外胆管癌術後に異時性に発生した肝内胆管癌の1切除例

症例は69歳,男性.11年前に肝外胆管癌に対して肝外胆管切除術を施行し,病理組織学的検査では乳頭腺癌でStage IAであり,切除断端は陰性で根治切除であった.今回,発熱を主訴に受診し,胆管炎と肝膿瘍の診断で入院となった.症状は保存的に軽快したが,短期間で腫瘍マーカーが上昇したために精査を施行した.腹部造影CT検査では肝S4に35mm大の腫瘍を認め,門脈左枝と中肝静脈の狭窄を伴っていた.肝S4の肝内胆管癌と診断し,中肝静脈合併肝左葉切除術,左尾状葉切除術を施行した.病理組織学的検査では高分化型の肝内胆管癌で脈管浸潤は認めず,Stage IIであった.術後3年の現在,無再発生存中である.肝外胆管...

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Veröffentlicht in:胆道 2020/10/31, Vol.34(4), pp.687-693
Hauptverfasser: 伊藤, 将一朗, 末永, 雅也, 加藤, 公一, 鈴木, 雄之典, 竹田, 伸
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は69歳,男性.11年前に肝外胆管癌に対して肝外胆管切除術を施行し,病理組織学的検査では乳頭腺癌でStage IAであり,切除断端は陰性で根治切除であった.今回,発熱を主訴に受診し,胆管炎と肝膿瘍の診断で入院となった.症状は保存的に軽快したが,短期間で腫瘍マーカーが上昇したために精査を施行した.腹部造影CT検査では肝S4に35mm大の腫瘍を認め,門脈左枝と中肝静脈の狭窄を伴っていた.肝S4の肝内胆管癌と診断し,中肝静脈合併肝左葉切除術,左尾状葉切除術を施行した.病理組織学的検査では高分化型の肝内胆管癌で脈管浸潤は認めず,Stage IIであった.術後3年の現在,無再発生存中である.肝外胆管癌と肝内胆管癌の異時性重複癌の報告は稀であるが,手術により長期生存を得られる可能性がある.胆道癌術後,特に胆管炎を発症した症例では再発や異時性重複癌の合併を念頭に置いた慎重な経過観察が肝要である.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando.34.687