セフトリアキソン (CTRX) 投与が原因と考えられる胆石性膵炎を発症した高齢者の2例

要旨: セフトリアキソン(CTRX)の投与に伴い偽胆石と呼ばれる胆石様沈殿物が形成される事が知られており, 小児例で報告が多いが, 近年高齢者の報告が増加している. 今回我々はCTRX投与が原因と考えられる胆石性膵炎を発症した高齢者の2例を経験した. 胆石性膵炎を発症する前に1例目の80歳代, 女性は気管支炎に対しCTRXを3日間, 2例目の70歳代, 男性は大腸炎に対しCTRXを5日間投与されていた. いずれも胆石性膵炎の診断で入院し保存的治療を開始したが, 炎症反応, 肝胆道系酵素上昇が増悪し内視鏡的処置を要した. CTRXに伴う偽胆石の多くは無症状であり, 腹痛などの症状が出現した場合で...

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Veröffentlicht in:胆道 2019-12, Vol.33 (5), p.862-870
Hauptverfasser: 齋藤倫寛, 新後閑弘章, 権勉成, 田中貴志, 齋藤孝太, 前谷容
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:要旨: セフトリアキソン(CTRX)の投与に伴い偽胆石と呼ばれる胆石様沈殿物が形成される事が知られており, 小児例で報告が多いが, 近年高齢者の報告が増加している. 今回我々はCTRX投与が原因と考えられる胆石性膵炎を発症した高齢者の2例を経験した. 胆石性膵炎を発症する前に1例目の80歳代, 女性は気管支炎に対しCTRXを3日間, 2例目の70歳代, 男性は大腸炎に対しCTRXを5日間投与されていた. いずれも胆石性膵炎の診断で入院し保存的治療を開始したが, 炎症反応, 肝胆道系酵素上昇が増悪し内視鏡的処置を要した. CTRXに伴う偽胆石の多くは無症状であり, 腹痛などの症状が出現した場合でもCTRX投与中止により早期に消失する事から経過観察などの保存的治療が第1選択とされる. しかし, 本症例の様に内視鏡的処置を必要とする可能性や, 小児だけでなく高齢者にも偽胆石はできやすい可能性を十分に認識しておく事が必要である.
ISSN:0914-0077