化学療法により長期生存中の切除不能胆管癌症例に発症した胆石イレウスの1例

症例は75歳男性.腹膜播種転移による切除不能肝門部領域胆管癌に対して化学療法を施行中であった.初回診断から11カ月後に腹痛,嘔吐を主訴に来院し,画像所見から胆石イレウスの診断で緊急開腹手術を施行した.開腹所見では回腸末端部から15cm口側の回腸に結石の陥頓を認め,同部より口側の腸管の拡張を認めた.化学療法施行前に認めた腹膜播種巣は消失しており,術中腹腔内洗浄細胞診も陰性であった.術前画像所見,開腹所見から胆嚢十二指腸瘻の存在は明らかであったが,原病と化学療法の効果を考慮し術後早期の化学療法を可能とすべく,結石除去によるイレウス解除のみで手術を終了した.その結果,術後早期に化学療法の再開,継続が...

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Veröffentlicht in:胆道 2016/05/31, Vol.30(2), pp.228-233
Hauptverfasser: 矢澤, 慶一, 森岡, 大介, 小林, 敦夫, 佐藤, 芳樹, 遠藤, 格
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は75歳男性.腹膜播種転移による切除不能肝門部領域胆管癌に対して化学療法を施行中であった.初回診断から11カ月後に腹痛,嘔吐を主訴に来院し,画像所見から胆石イレウスの診断で緊急開腹手術を施行した.開腹所見では回腸末端部から15cm口側の回腸に結石の陥頓を認め,同部より口側の腸管の拡張を認めた.化学療法施行前に認めた腹膜播種巣は消失しており,術中腹腔内洗浄細胞診も陰性であった.術前画像所見,開腹所見から胆嚢十二指腸瘻の存在は明らかであったが,原病と化学療法の効果を考慮し術後早期の化学療法を可能とすべく,結石除去によるイレウス解除のみで手術を終了した.その結果,術後早期に化学療法の再開,継続が可能となり,初回診断から4年経過した現在も生存中である.化学療法の進歩により切除不能胆道癌の生存期間は延長している.胆道癌には高率に胆嚢結石を合併するため,今後増加する可能性のある合併症と考え報告する.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando.30.228