軽度胆道系酵素上昇で発見された早期肝門部胆管癌の1例

要旨:症例は72歳,女性.近医における検診にてγ-GTPの軽度上昇を認め,超音波検査を施行,左肝内胆管の拡張,左肝管内に高エコー腫瘤性病変を認め,精査加療目的で当院紹介となった.腹部造影CTで肝外側区肝内胆管の拡張と左肝管内に径25mm大の淡い造影効果を伴う腫瘤性病変を認めた.ERC所見では同腫瘤は限局性で総肝管分岐部より8mmの左肝管内,B4,B2+3分岐部近傍に位置していた.同腫瘤はMRI T1強調像で低信号,T2,拡散強調像にて高信号を示した.以上より,肝門部胆管癌(左肝管癌)と術前診断し,肝左葉切除術,左側尾状葉切除術を施行した.病理組織所見は乳頭腺癌で深達度fm,胆道癌取扱い規約でs...

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Veröffentlicht in:胆道 2010, Vol.24(2), pp.227-232
Hauptverfasser: 二川, 康郎, 恩田, 真二, 藤岡, 秀一, 岡本, 友好, 矢永, 勝彦
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:要旨:症例は72歳,女性.近医における検診にてγ-GTPの軽度上昇を認め,超音波検査を施行,左肝内胆管の拡張,左肝管内に高エコー腫瘤性病変を認め,精査加療目的で当院紹介となった.腹部造影CTで肝外側区肝内胆管の拡張と左肝管内に径25mm大の淡い造影効果を伴う腫瘤性病変を認めた.ERC所見では同腫瘤は限局性で総肝管分岐部より8mmの左肝管内,B4,B2+3分岐部近傍に位置していた.同腫瘤はMRI T1強調像で低信号,T2,拡散強調像にて高信号を示した.以上より,肝門部胆管癌(左肝管癌)と術前診断し,肝左葉切除術,左側尾状葉切除術を施行した.病理組織所見は乳頭腺癌で深達度fm,胆道癌取扱い規約でstageIであった.本症例の如く,無黄疸で発見される早期肝門部胆管癌は少なくないが,軽度の胆道系酵素上昇の症例に対しては胆管癌の可能性を常に念頭におき超音波検査などの精査を行うことが重要であると考えられた.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando.24.227