診断に苦慮した乳頭部腺腫の1例

「症例」症例は70歳代の男性. 以前より大酒家であったが. 急性膵炎で他院に入院した. 保存的に治療し軽快した. 入院中に施行した上部消化管内視鏡検査で主乳頭部に腫瘤を認めた. 生検組織診断では炎症性変化であったが, 乳頭部腫瘤の精査のため当科受診した. 側視鏡を用いて主乳頭部を観察した. 主乳頭は腫大し, 表面は結節状隆起であった(図1). 肛門側も同様に結節状隆起であり, 開口部ははっきりと認められなかった(図2). EUSを施行し(図3), 十二指腸より乳頭部腫瘍を観察した. 腫瘤は粘膜層から隆起していた. 固有筋層(→)は保たれており, 粘膜病変と診断した. 腫瘍の直径は27mmであっ...

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Veröffentlicht in:胆道 2007/12/31, Vol.21(5), pp.709-712
Hauptverfasser: 五十嵐, 良典, 岡野, 直樹, 三浦, 富宏, 大久保, 洋一郎, 渋谷, 和俊
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:「症例」症例は70歳代の男性. 以前より大酒家であったが. 急性膵炎で他院に入院した. 保存的に治療し軽快した. 入院中に施行した上部消化管内視鏡検査で主乳頭部に腫瘤を認めた. 生検組織診断では炎症性変化であったが, 乳頭部腫瘤の精査のため当科受診した. 側視鏡を用いて主乳頭部を観察した. 主乳頭は腫大し, 表面は結節状隆起であった(図1). 肛門側も同様に結節状隆起であり, 開口部ははっきりと認められなかった(図2). EUSを施行し(図3), 十二指腸より乳頭部腫瘍を観察した. 腫瘤は粘膜層から隆起していた. 固有筋層(→)は保たれており, 粘膜病変と診断した. 腫瘍の直径は27mmであった. ERCP施行したが, 開口部は不明で, 造影はできなかった. MRCPでは, 主膵管および総胆管に異常は認めなかった(図4). 完全生検目的で内視鏡的乳頭部切除術を施行した. 切除後に出血は認めなかった(図5). 主膵管および総胆管にステントを1週間留置した. 術後膵炎・胆管炎は認めなかった.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando1987.21.5_709