胆管細胞癌との鑑別に苦慮した胆管内発育型肝細胞癌の1切除例

症例は78歳, 女性.2003年5月下旬に腹痛を主訴に来院した. 肝炎ウイルスマーカーはすべて陰性で, 腫瘍マーカーのPIVKA-IIは790mAU/mlと高値で, AFPは5.5ng/mlと正常であった, 腹部超音波検査にて, 肝外側後区域(S2)に径35mmの腫瘍を認め, その末梢側の胆管は拡張していた. 造影CTでは腫瘍は淡く造影され, 左肝管に腫瘍栓を認めた.ERCPでは, 左肝管の陰影欠損と末梢側の肝内胆管拡張を認めた. 腹部血管造影では, 腫瘍血管の増生や腫瘍濃染は認めなかった. 腫瘤形成型+題管内発育型の胆管細胞癌の診断で, 肝左葉切除を行った. 病理組織学的にはS2原発の肝細胞...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:胆道 2005/10/31, Vol.19(4), pp.482-488
Hauptverfasser: 内藤, 岳人, 乾, 和郎, 芳野, 純治, 奥嶋, 一武, 小林, 隆, 三好, 広尚, 中村, 雄太, 近石, 敏彦, 服部, 昌志, 二村, 雄次, 梛野, 正人
Format: Artikel
Sprache:jpn
Schlagworte:
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:症例は78歳, 女性.2003年5月下旬に腹痛を主訴に来院した. 肝炎ウイルスマーカーはすべて陰性で, 腫瘍マーカーのPIVKA-IIは790mAU/mlと高値で, AFPは5.5ng/mlと正常であった, 腹部超音波検査にて, 肝外側後区域(S2)に径35mmの腫瘍を認め, その末梢側の胆管は拡張していた. 造影CTでは腫瘍は淡く造影され, 左肝管に腫瘍栓を認めた.ERCPでは, 左肝管の陰影欠損と末梢側の肝内胆管拡張を認めた. 腹部血管造影では, 腫瘍血管の増生や腫瘍濃染は認めなかった. 腫瘤形成型+題管内発育型の胆管細胞癌の診断で, 肝左葉切除を行った. 病理組織学的にはS2原発の肝細胞癌であった. 胆管内発育型肝細胞癌は比較的稀で, 臨床的特徴としてウイルスマーカー陰性例が多く, 胆管細胞癌や肝門部胆管癌と診断される例が多い. 本症例の画像を見直すと腫瘍はCTの造影パターンが肝細胞癌に合致しており, 胆管内発育型肝細胞癌を考慮すべきであった.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando1987.19.4_482