肝左3区域切除,尾状葉切除,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術で根治切除できた多発の胆管狭窄を伴う広範囲胆管癌の1例

多発性胆管狭窄を伴う胆管癌は多くはなく,診断に難渋することも多い.経皮経肝胆道鏡を含む精密検査で,胆管癌と診断できた症例を報告する.症例は70歳女性で,CTで軽度の胆管拡張を指摘された無黄疸例である.胆管像では右肝管と下部胆管に狭窄を認めた.経皮経肝胆道生検で腺癌を認め,多発の胆管狭窄を伴う広範囲の胆管癌と診断した.経皮経肝門脈塞栓術の後に,肝左3区域切除,尾状葉切除,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を行った. 病理組織学的所見では, 上流側では左肝内胆管と右肝内胆管前枝から, 下流側は膵内胆管まで広がる中分化型管状腺癌を認めた.癌は部位により,異なった浸潤程度と線維間質反応を示していた.原発性硬...

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Veröffentlicht in:胆道 2002/12/28, Vol.16(5), pp.403-408
Hauptverfasser: 安藤, 英也, 神谷, 順一, 梛野, 正人, 上坂, 克彦, 湯浅, 典博, 小田, 高司, 新井, 利幸, 西尾, 秀樹, 二村, 雄次
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:多発性胆管狭窄を伴う胆管癌は多くはなく,診断に難渋することも多い.経皮経肝胆道鏡を含む精密検査で,胆管癌と診断できた症例を報告する.症例は70歳女性で,CTで軽度の胆管拡張を指摘された無黄疸例である.胆管像では右肝管と下部胆管に狭窄を認めた.経皮経肝胆道生検で腺癌を認め,多発の胆管狭窄を伴う広範囲の胆管癌と診断した.経皮経肝門脈塞栓術の後に,肝左3区域切除,尾状葉切除,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を行った. 病理組織学的所見では, 上流側では左肝内胆管と右肝内胆管前枝から, 下流側は膵内胆管まで広がる中分化型管状腺癌を認めた.癌は部位により,異なった浸潤程度と線維間質反応を示していた.原発性硬化性胆管炎の所見は認めなかった.本例では癌の浸潤程度と線維間質反応が一様でなく,総肝管と左肝内胆管では癌の浸潤程度と線維間質反応が軽度であった.そのため,総肝管や左肝内胆管で狭窄が軽度となり,多発狭窄を呈したと考えられた.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando1987.16.5_403