固有肝動脈塞栓術後に肝十二指腸間膜切除を施行した中部胆管癌の1例

固有肝動脈塞栓術後に肝十二指腸間膜切除を安全に施行できた,中部胆管癌の1例を経験した.症例は55歳,男性.画像検査より術前診断は壁外浸潤を伴う中部胆管癌であり,門脈・固有肝動脈と近接し浸潤が疑われた.血管造影では左肝動脈が左胃動脈から分岐していたため,肝内シャントの増加を目的に術前に固有肝動脈に対しTAEを行った.3週間後の血管造影では固有肝動脈の血流は遮断され,左肝動脈から中肝動脈への肝シャントの血流増加を確認した.TAEに伴う肝機能障害は認めなかった. 手術は肝十二指腸間膜切除+ PpPDを行い, 腫瘍をen blocに切除した. 肝動脈は再建せず, 門脈は端々吻合にて再建した. 術翌日に...

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Veröffentlicht in:胆道 2000/10/30, Vol.14(4), pp.361-367
Hauptverfasser: 井口, 雅史, 太田, 哲生, 北川, 裕久, 谷, 卓, 西村, 元一, 萱原, 正都, 清水, 康一, 三輪, 晃一, 松井, 修
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:固有肝動脈塞栓術後に肝十二指腸間膜切除を安全に施行できた,中部胆管癌の1例を経験した.症例は55歳,男性.画像検査より術前診断は壁外浸潤を伴う中部胆管癌であり,門脈・固有肝動脈と近接し浸潤が疑われた.血管造影では左肝動脈が左胃動脈から分岐していたため,肝内シャントの増加を目的に術前に固有肝動脈に対しTAEを行った.3週間後の血管造影では固有肝動脈の血流は遮断され,左肝動脈から中肝動脈への肝シャントの血流増加を確認した.TAEに伴う肝機能障害は認めなかった. 手術は肝十二指腸間膜切除+ PpPDを行い, 腫瘍をen blocに切除した. 肝動脈は再建せず, 門脈は端々吻合にて再建した. 術翌日にAST,LDH,T-bilは一過性に高値を示したが,速やかに正常化した. 経過は順調で術後34日目に退院となった. 胆管癌に対する肝十二指腸間膜切除術は,術前TAEを行うことにより,肝動脈非再建にて安全に施行できる方法であると考えられた.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando1987.14.4_361