孤立性肝内胆管拡張症の1例

症例は53歳女性.腹部超音波にて肝門部の腫瘤を指摘され来院した.入院時現症,検査成績では中性脂肪の軽度上昇を認めた以外,正常であった.超音波とCTでは肝門部近くに内部石灰化を伴う嚢胞を認め,嚢腫穿刺造影にて右肝管前枝の基部が嚢状に拡張していた.肝外胆道系には異常はなく,合流異常も認められなかった.手術は右肝管前枝を結紮切離し,嚢腫切除術を施行した.嚢腫は直径約3cmで,内部に一塊となった黒色石を多数認め,内腔は白色光沢を有し平滑であった.組織学的には,壁に軽度の炎症所見と,ところどころに胆管付属腺が見られ,孤立性肝内胆管拡張症と診断した.術後トランスアミナーゼと胆道系酵素の上昇を認めたが,腹痛...

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Veröffentlicht in:胆道 1997/10/25, Vol.11(4), pp.372-377
Hauptverfasser: 山崎, 將人, 渡辺, 義二, 入江, 氏康, 石島, 秀紀, 太田, 真, 佐藤, 裕俊
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は53歳女性.腹部超音波にて肝門部の腫瘤を指摘され来院した.入院時現症,検査成績では中性脂肪の軽度上昇を認めた以外,正常であった.超音波とCTでは肝門部近くに内部石灰化を伴う嚢胞を認め,嚢腫穿刺造影にて右肝管前枝の基部が嚢状に拡張していた.肝外胆道系には異常はなく,合流異常も認められなかった.手術は右肝管前枝を結紮切離し,嚢腫切除術を施行した.嚢腫は直径約3cmで,内部に一塊となった黒色石を多数認め,内腔は白色光沢を有し平滑であった.組織学的には,壁に軽度の炎症所見と,ところどころに胆管付属腺が見られ,孤立性肝内胆管拡張症と診断した.術後トランスアミナーゼと胆道系酵素の上昇を認めたが,腹痛や発熱はなく良好に経過し,第28病日退院した.超音波にて,右前枝胆管は4.7mmと拡張したままであるが,4年半経過した現在腹痛発熱などなく良好に経過している.本症は報告例が少なく,その病態は不明な点が多い.症例を重ね,さらなる検討が必要と思われた.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando1987.11.4_372