演題125 精神科領域患者における胆石保有率の検討
[はじめに]最近, 人間ドックや集団検診などによる日本人胆石保有率の報告が数多くみられる. それらの報告によると胆石保有率は2~6%である. 今回われわれは, 精神科領域の入院患者に超音波検査を施行し, 13.5%と高頻度に胆石を認めたので, 文献的考察を含め報告する. [対象および方法]精神科入院患者170名(うち男性95名, 女性75名)を対象とした. 対象者の疾患は精神分裂症109名, 躁鬱病7名, てんかん7名, 老人性痴呆15名, 慢性アルコール中毒症9名などであった. 全員に腹部超音波検査および経口胆嚢造影を行って胆石の有無を検索し, さらに男女差, 投与薬剤との関連, 肥満度など...
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Veröffentlicht in: | 胆道 1990, Vol.4 (3), p.367-367 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | [はじめに]最近, 人間ドックや集団検診などによる日本人胆石保有率の報告が数多くみられる. それらの報告によると胆石保有率は2~6%である. 今回われわれは, 精神科領域の入院患者に超音波検査を施行し, 13.5%と高頻度に胆石を認めたので, 文献的考察を含め報告する. [対象および方法]精神科入院患者170名(うち男性95名, 女性75名)を対象とした. 対象者の疾患は精神分裂症109名, 躁鬱病7名, てんかん7名, 老人性痴呆15名, 慢性アルコール中毒症9名などであった. 全員に腹部超音波検査および経口胆嚢造影を行って胆石の有無を検索し, さらに男女差, 投与薬剤との関連, 肥満度などについて検討した. [結果]対象者の平均年齢は53.4歳で, 胆石保有率は13.5%であり, 男女別にみるとそれぞれ男性は52.5歳, 10.5%, 女性は54.3歳, 17.3%であった. また疾患別の胆石保有率は, 精神分裂症15.6%, 躁鬱病0%, てんかん11.1%, 老人性痴呆13.3%, 慢性アルコール中毒症11.1%であった. 疾患別男女別では, 精神分裂症の男性は10.0%, 女性は22.4%であり, 老人性痴呆の男性は12.5%, 女性は14.3%と女性に多く認められた. 投与中の薬剤についてみると, ハロペリドールが多く, 胆石保有率はハロペリドール非投与群で10.9%, 投与群で19.6%と投与群は非投与群の約2倍であった. とくに女性では投与群において30.0%と高率であった. 胆石保有者の肥満度は男性+18.9%, 女性+39.0%であり, 胆石非保有者の各々+12.9%, 3+20.1%に比べ高かった. [結論]精神科領域患者の胆石保有率は13.5%と一般のドックや健康診断の報告よりも高率であった. 胆石保有率は, 男性10.5%, 女性17.3%で, とくに女性に高率であった. 橋口らは同様の施設における胆石について, 胆石保有率は27.7%と高率で, 抗パーキンソン薬投与例に胆石保有率が有意に高かったと報告している. 今回の検討では, ハロペリドール投与例に胆石保有率が高かったが, 胆石保有者の肥満度も高いため, 薬剤が原因というよりも, 肥満が重要な原因と考えられた. |
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ISSN: | 0914-0077 |