演題103 胆道鏡下電気水圧砕石術の現況
胆石症に対して, より非侵襲的な治療法が求められているが, 有症状胆石には積極的な治療が必要とされることが多い. 本法は急性化膿性胆管炎, 急性膵炎などを併発した場合, 経皮経肝胆道ドレナージ術にて減黄をはかるとともに, そのルートを活用し胆道鏡直視下に電気水圧で砕石, 除去する治療法として, その有用性が認められている. 今回は本法を用いた治療例を検討し, 特にその合併症について報告する. 対象および方法)1987年5月より1990年2月までに, 当院で経皮経肝胆道鏡下砕石術が60例に試みられた. 総胆管結石症は52例で, 31例に胆嚢結石の合併がみられた. 3例が胆嚢摘出後であった. 胆嚢...
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Veröffentlicht in: | 胆道 1990, Vol.4 (3), p.356-356 |
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Hauptverfasser: | , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 胆石症に対して, より非侵襲的な治療法が求められているが, 有症状胆石には積極的な治療が必要とされることが多い. 本法は急性化膿性胆管炎, 急性膵炎などを併発した場合, 経皮経肝胆道ドレナージ術にて減黄をはかるとともに, そのルートを活用し胆道鏡直視下に電気水圧で砕石, 除去する治療法として, その有用性が認められている. 今回は本法を用いた治療例を検討し, 特にその合併症について報告する. 対象および方法)1987年5月より1990年2月までに, 当院で経皮経肝胆道鏡下砕石術が60例に試みられた. 総胆管結石症は52例で, 31例に胆嚢結石の合併がみられた. 3例が胆嚢摘出後であった. 胆嚢結石症は8例であった. 年齢は23才から88才までで, 平均68才であった. 方法は超音波誘導下PTCDおよびPTCCDの後, 一期的に16Frチューブを挿入, ほぼ2週後に胆道鏡観察下に電気水圧式砕石術を開始した. 砕石術は結石消失が確認されるまで1週毎に繰り返し行なった. 1987年後期からはPTCD, PTCCD瘻孔拡張術時の疼痛対策として, 笑気の経鼻的投与, ペンタゾシン, ジアゼパムの経静脈的投与を加えた. 結果)基礎疾患として腎不全, 心筋症, 慢性呼吸不全, 脳梗塞後遺症, 慢性関節リウマチなど重篤な疾患を有する例は9例, 80才以上の高齢者は6例であった. PTCD時, 胆嚢総胆管結石症の1例のみが無症状で, 9例が腹痛, 7例が黄疸, 他の43例は発熱, 腹痛を訴え, そのうち14例が急性化膿性胆管炎, 5例が急性膵炎を併発していた. 対象のうち55例が本法のみで治療を終了した. 2例が総胆管結石砕石後に胆嚢摘出術が施行された. 平均砕石回数は総胆管結石で1.3回, 胆嚢結石で2.5回であり, 平均チューブ留置期間は総胆管結石で31日, 胆嚢結石合併例で44日であった. 治療による合併症では, 砕石術による胆道損傷はなかったが, 胆嚢結石治療中に結石が総胆管に脱落した例が2例あり, 1例はPTCDの追加により, 1例は経胆嚢管的に摘除し得た. 治療中に2例に胃潰瘍, 1例に急性膵炎, 2例に胸膜炎がみられたが保存的に治癒した. 死亡例は1例で, 79才の腎不全患者を砕石術後, 敗血症にて失った. 胆道ファイバーの胆嚢床よりの逸脱, 留置チューブ自己抜去の各々1例が緊急手術を必要とした. 結石の再発, 遺残は胆嚢総胆管結石例に2例みられ, 1例は総胆管に, 1例は胆嚢に再発した. まとめ)胆道鏡下電気水圧砕石術は, 特に閉塞性黄疸, 化膿性胆管炎, 急性膵炎などを併発した総胆管結石症に最もよい適応と考えられる. しかし, ハイリスク患者では合併症に対する充分な留意が必要である. |
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ISSN: | 0914-0077 |