演題83 胆嚢原発燕麦細胞癌の一例
目的:まれとされている胆嚢原発燕麦細胞癌の症例を経験したので, 病理組織所見と臨床経過を報告する. 症例:72歳, 女性. 主訴は右季肋部痛と黄疸. 本年2月下旬より症状が出現し, 近医より当科を紹介された. 画像所見:CTで胆嚢底部から肝門部肝実質へ浸潤した胆嚢癌と診断された. 広汎なリンパ節転移も顕著であった. PTCDで左右肝管は合流部で完全に閉塞していた. 消化管造影検査では, 横行結腸, 十二指腸への直接浸潤も認められた. 血管造影で, 門脈本幹, 固有肝動脈, 右肝動脈などに著明な浸潤像を認めた. しかし, Gaシンチグラムでは, 遠隔臓器に異常を認めなかった. 手術所見及び治療:...
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Veröffentlicht in: | 胆道 1990, Vol.4 (3), p.346-346 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 目的:まれとされている胆嚢原発燕麦細胞癌の症例を経験したので, 病理組織所見と臨床経過を報告する. 症例:72歳, 女性. 主訴は右季肋部痛と黄疸. 本年2月下旬より症状が出現し, 近医より当科を紹介された. 画像所見:CTで胆嚢底部から肝門部肝実質へ浸潤した胆嚢癌と診断された. 広汎なリンパ節転移も顕著であった. PTCDで左右肝管は合流部で完全に閉塞していた. 消化管造影検査では, 横行結腸, 十二指腸への直接浸潤も認められた. 血管造影で, 門脈本幹, 固有肝動脈, 右肝動脈などに著明な浸潤像を認めた. しかし, Gaシンチグラムでは, 遠隔臓器に異常を認めなかった. 手術所見及び治療:腫瘍は胆嚢全体に及び, 予行結腸肝弯曲部, 十二指腸球後部及び大網が胆嚢と癌性癒着し, 一塊の腫瘤を形成していた. 癌は肝実質及び肝十二指腸靱帯へ浸潤を示し, 大動脈, 膵後部, 上腸間膜動・静脈根部及び左腎静脈周囲リンパ節にも転移が著明であった. 腹膜播種や血行性肝転移を認めなかったので, 肝左葉内側下区(S4b)と肝右葉前下区(S5)切除に肝門部肝管切除, 膵頭十二指腸切除, 及び横行結腸切除を加えた. 固有肝動脈, 右肝動脈, 及び門脈本幹周囲組織には, 癌浸潤が著明なため, 術中電子線照射(照射野8cm, エネルギー 6MeV. 線量20Gy)を行なった. リンパ節郭清部位, 肝切除端に術後照射用のマーキング(止血クリップ)を置き, 術後4週目より体外照射(40Gy)を追加した. 病理組織学的所見:原発巣は胆嚢底部を中心に大きさ7.0X6.5×5.0cmの腫瘤を形成し, 腫瘍割面は白色を呈していた. 胆嚢内に径1.5cmの黒緑色の結石を認めた. 組織学的に腫瘍は, クロマチンに富む紡錘型~円形のやや大型の核を持つ細胞から構成されており, 腫癌は部分的に壊死に陥っていた. 腫瘍細胞は索状, リボン状, 偽ロゼット状の構造及び基底細胞様構造を示すところがあり, 更に, 極く一部に腺管構造を形成していた. Grimelius, Fontana-Masson染色は陰性であるが, 電顕的に神経分泌顆粒を認め, 燕麦細胞癌と診断された. リンパ管浸潤が著明で, 大動脈周囲から左腎静脈周囲のリンパ節にまで原発巣と同様の所見の転移像を認めた. 組織学的には典型的な燕麦細胞癌であった. 経過:術後12ヵ月の現在生存中である. |
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ISSN: | 0914-0077 |