演題3 胆石症として一年間経過観察後に治癒切除し得た4.0×3.1×2.0cm大のポリープ型ss胆嚢癌の1例

〈症例〉i)68歳女性 ii)主訴:上腹部痛, 嘔吐 iii)現病歴:1988年11月30日上腹部痛, 嘔吐出現. 当院内科受診, US, CT, ERCPにて胆石症と診断された. 1989年11月8日再び上腹部痛, 嘔吐出現, GOT567U, GPT389U, AMY2046Uと異常を指摘され, 11月11日当院内科に入院した. CT, DIC, ERCPにて胆嚢結石症と診断され, 12月6日当科に転科した. iv)乱心:身長143.5cm, 体重58kg全身状態良好で, 腹部症状も認めなかった. v)転科後検査:(1)US:胆嚢体部にacoustic shadowを伴わない4.0×2.5...

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Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:胆道 1990, Vol.4 (3), p.306-306
Hauptverfasser: 玉内登志雄, 山口喜正, 牧篤彦, 別府和重
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:〈症例〉i)68歳女性 ii)主訴:上腹部痛, 嘔吐 iii)現病歴:1988年11月30日上腹部痛, 嘔吐出現. 当院内科受診, US, CT, ERCPにて胆石症と診断された. 1989年11月8日再び上腹部痛, 嘔吐出現, GOT567U, GPT389U, AMY2046Uと異常を指摘され, 11月11日当院内科に入院した. CT, DIC, ERCPにて胆嚢結石症と診断され, 12月6日当科に転科した. iv)乱心:身長143.5cm, 体重58kg全身状態良好で, 腹部症状も認めなかった. v)転科後検査:(1)US:胆嚢体部にacoustic shadowを伴わない4.0×2.5cm大のisoechoicな腫瘍性病変を認め, 肝床側で胆嚢壁が一部不明瞭であった. (3)造影CT:単純CTで認めた胆嚢体部の病変は著明に造影された. (3)血管造影:胆嚢動脈浅枝は著明に拡張し, 胆嚢体部に不均一な限局性濃染像を認めた. (4)経皮経肝胆嚢造影(PTCC):胆嚢の変形はなく, 体部に4.0x3.8cm大の隆起性病変を認め, 表面は僅かに乳頭状を呈していた. 以上より胆嚢癌と診断し, 1990年1月8日手術を施行した. vi)手術所見:胆嚢体部にクルミ大の腫瘤を触知し, 肝床面に位置しており, 腫瘍の大きさを考慮に入れ, R2+No.16リンパ節郭清, 肝床切除を伴う胆嚢摘出術を施行した. vii)標本造影:胆嚢内洗浄後の充満像では, 体部のくびれ部に付着した表面乳頭状の亜有茎性ポリープ像を呈した. Viii)肉眼所見:Gb, Hep(~ant), 慢性炎症型(軽度), 特殊型(亜有茎性ポリープ型), 4.0×3.1×2.0cm, S0, Hinf0, H0, Binf0, P0, N0, M(-), St(+)-bil, BW0, EW0, ix)組織学的所見:高分化型管状腺癌, 髄様型, INFα, ly1, v0, pn0, ss, hinf0, vs0, n(-), bw0, hw0, ew0, 絶対治癒切除. x)術後経過:術後3ヵ月半の現在健在である. 〈考案〉i)本症例は, CT画像上約1年の間に胆嚢腫瘍が僅かに増大したのみで, 4.0×3.1×2.0cmとかなり大きな胆嚢内腫瘍を形成していたにも拘らず, 幸運にも, リンパ節転移もなく, aaα(胃癌取扱規約に準ずる)の段階で治癒切除し得た点が特徴的であった. ii)(1)PTCC像と標本造影を比較するとPTCC像では腫瘍表面の乳頭状構造の描出が不充分で, これは腫瘍表面に付着した胆汁や粘液が腫瘍像を不鮮明にしたと考えられ, PTCCによる造影所見が必ずしも病変を正確に描出しているものではないことに留意すべきであると思われた. (2)PTCC像から亜有茎性ポリープ状の形態を把握することは困難で, 正確な形態把握には, 経皮経肝胆嚢ドレナージ(PTCCD)による造影や経皮経肝胆嚢鏡検査(PTCCS)による観察が必要と思われた. iii)本症例で施行した術前画像検査から深達度を充分診断することは困難で, 起音波内視鏡(EUS)による深達度診断を試みる必要があったと思われた.
ISSN:0914-0077