パネル1-3) 黒色石の新しい分類方法の検討
[目的]現在の胆石分類中黒色石以外はその成分分析の裏付けがなされた上での分類で, 経験的に結石の肉眼分類と成分分析結果がほぼ一致する. しかし黒色石の主成分である黒色色素は, その分析方法が極めて困難で, 化学分析に際しての残査として表現するに留まっている. それ故, 臨床的には結石の表面, 割面共に黒色で層状構造がなければ, 全て黒色石とされている. しかし黒色石は形態学的には必ずしも単一ではなく, ビリルビン含有率も様々である. そこで今回は黒色石の臨床的分類方法を明確にするため, 黒色石を肉眼形態別に分類し, 軟X線構造, ビリルビン含有率, 元素分析を施行した. [方法]手術で得られた...
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Veröffentlicht in: | 胆道 1990, Vol.4 (3), p.268-268 |
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Hauptverfasser: | , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | [目的]現在の胆石分類中黒色石以外はその成分分析の裏付けがなされた上での分類で, 経験的に結石の肉眼分類と成分分析結果がほぼ一致する. しかし黒色石の主成分である黒色色素は, その分析方法が極めて困難で, 化学分析に際しての残査として表現するに留まっている. それ故, 臨床的には結石の表面, 割面共に黒色で層状構造がなければ, 全て黒色石とされている. しかし黒色石は形態学的には必ずしも単一ではなく, ビリルビン含有率も様々である. そこで今回は黒色石の臨床的分類方法を明確にするため, 黒色石を肉眼形態別に分類し, 軟X線構造, ビリルビン含有率, 元素分析を施行した. [方法]手術で得られた60症例分の胆嚢内黒色石と20症例分の「ビ」石を水洗後, 室温乾燥した. 肉眼的に黒色石を1群:外観, 割面共に黒色無構造で金平糖状あるいは類似形を呈し, 大きさが10mm以下の結石. 2群:外観, 割面共に黒色無構造で, 球状, 平板状を呈し, 大きさは10mm以下の結石. 3群:外観, 割面は黒色無構造で時に割面は黒褐色調を呈し, 大きさが10mmを越え, 表面疎大顆粒状の結石. 4群:外観, 割面は黒色~黒褐色調無構造で, テトラポッド状をなす10mm以上の結石. そして5群は典型的なビリルビン石とした. これら全結石を軟X線撮影し, 結石のビリルビン定量は質量分析装置DX-300(日本電子)で行った. 結石中の元素分析は武蔵工業大学原子炉を使用する放射化分析を施行した. [結果]1群は軟x線上鋭いとげ状, 星の砂状石灰化構造, あるいは0.5~2mm大のつぶ状, 球状の石灰化体が集合した構造で, ビリルビン含有率は5~7%で含有元素はCa. Na. Cu. Mgの順に多かった. 2群は同じく石灰化構造はあまり強くなく, ビリルビン含有率は10%以下であり, Ca. Mg. Na. Mnの順に含有率が高かった. 3群は, 比較的強い石灰化構造が結石全体を占め, ビリルビン含有率は20%前後でCa. Na. Cu. Mgの順に含有率が高かった. 4群は強い石灰化構造が結石の中心から外層へ層状を示しビリルビン含有率も20%を越え, Ca. Na. Cuの含有率が高かった. 5群は典型的な層状構状を有する「ビ」石で, ビリルビン含有率は20%以上で, 4群までの結石より元素含有量は少いもののCa. Cuの含有率が高かった. [結論]以上の結果から黒色石と分類するのは1, 2群の結石で, 3, 4群はビリルビン石に属すべきで, 臨床的には10mm以下の表面, 割面が黒色調無構造な結石を黒色石とし, 10mmをはるかに越える黒い石および黒色調のテトラポッド状の結石はビリルビン石に分類すべきと考えた. |
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ISSN: | 0914-0077 |