演題107 経皮経肝的胆道ドレナージ(PTCD)経過中の胆道感染症に関する検討

【目的】PTCD経過中にみられる胆道感染症の発生頻度, 分離菌の種類と薬剤感受性及び治療法と予後に関する検討を行い, その対策について考察する. 【対象】対象は, 1986年1月より1988年12月までの3年間にPTCDを行った40例(男24例, 女16例, 平均年齢64歳)である. 内訳は胆管癌16例, 膵癌14例, 胆嚢癌7例, 癌転移による胆道狭窄(以下癌転移)2例, 総胆管結石1例で, PTCDの施行期間は10-435日, 平均106日である. 【方法】PTCD経過中の胆道感染症の発生頻度を求め, これを原疾患別, 閉塞部位別及び発生時期別に各々比較検討した. また胆道感染発症時に採取...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:胆道 1989, Vol.3 (3), p.347-347
Hauptverfasser: 福田定男, 渋谷裕史, 岩崎至利, 児島辰也, 斉藤利彦, 芦澤真六
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:【目的】PTCD経過中にみられる胆道感染症の発生頻度, 分離菌の種類と薬剤感受性及び治療法と予後に関する検討を行い, その対策について考察する. 【対象】対象は, 1986年1月より1988年12月までの3年間にPTCDを行った40例(男24例, 女16例, 平均年齢64歳)である. 内訳は胆管癌16例, 膵癌14例, 胆嚢癌7例, 癌転移による胆道狭窄(以下癌転移)2例, 総胆管結石1例で, PTCDの施行期間は10-435日, 平均106日である. 【方法】PTCD経過中の胆道感染症の発生頻度を求め, これを原疾患別, 閉塞部位別及び発生時期別に各々比較検討した. また胆道感染発症時に採取した胆汁の細菌検査も行った. 更に治療方法と予後との関連性についても検討した. 尚PTCDは超音波誘導下またはレントゲン透視下に主として右側胸壁より行い, 11Fr.または14Fr.のバルーン付きドレナージチューブを留置した. 【成績】胆道感染症は, 40例中27例(68%)に計50回認められた. 内訳は胆管炎が22例(45回), 胆管炎+胆嚢炎3例(3回), 胆管炎+肝膿瘍2例(2回)であった. 胆道感染症の発生頻度を原疾患別にみると, 胆管癌69%, 膵癌64%, 胆嚢癌57%, 癌転移100%, 総胆管結石100%であり, 癌転移や総胆管結石に多かった. 閉塞部位別では, 肝門部88%, 上部57%, 中部50%, 下部53%と肝門部閉塞例で有意に高率であったが, これは癌浸潤によりドレナージの不良な領域が出現し易いためと考えられた. また発生時期では, PTCD後1ヶ月以内42%, 1-2ヶ月22%, 2-3ヶ月18%, 3ヶ月以上18%と早期に多くみられ, PTCD施行後の凝血塊, 炎症性浸出物等によるチューブの目詰まりが原因と思われた. 一方, 細菌の検出頻度は87%で, 分離菌としてはPseudomonusが52%と最も高頻度であり, 次いでEnterococcus 21%, Streptococcus 9%の順であった. 薬剤ではアミノグリコシド系に感受性を示すもの60%, 次いでセフェム系37%, テトラサイクリン系28%, ペニシリン系16%であった. 治療法と予後については, 抗生剤の全身及び胆道内投与で改善がみられたもの58%, チューブ交換を要したもの12%, PTCDの追加を要したもの12%で, 残り18%については, 何れの治療にも反応せず, 胆道感染症を契機とし状態の悪化をきたし死亡した. 【結語】PTCD経過中は常に胆道感染症を念頭において管理し, その発生に際しては, 速やかに適切な抗生剤の投与を行うと共に原因の検索に努め, 更に積極的にチューブの洗浄やドレナージの追加を行うことが肝要と思われた.
ISSN:0914-0077