演題87 胃切除からみた術後の胆石発生について

【目的】胃癌に対する胃切除後に続発する胆石の発生原因を明らかにするため, 手術術式, リンパ節郭清の程度及び胃切除後胆嚢収縮能の面から検討する. 【対象と方法】1977年3月から1988年12月までの間, 胃癌で胃切除術を実施した430例のうち現在生存中の331例(胃亜全摘301例, うちB-I再建215例, B-II再建86例, 胃全摘Roux-Y法再建30例)について, 術式別, リンパ節郭清別に胆石の発生頻度を検索した. 胆石の診断は超音波検査にて行なった. 胆嚢収縮能は超音波検査にて, 空腹時胆嚢面積及びCaerulein(0.3μg/kg)筋注した際の胆嚢最大収縮率を術後1ヵ月, 3...

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Veröffentlicht in:胆道 1989, Vol.3 (3), p.337-337
Hauptverfasser: 佐藤敬文, 面川進, 佐藤泰彦, 嘉藤茂, 小玉雅志, 浅沼義博, 小山研二
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:【目的】胃癌に対する胃切除後に続発する胆石の発生原因を明らかにするため, 手術術式, リンパ節郭清の程度及び胃切除後胆嚢収縮能の面から検討する. 【対象と方法】1977年3月から1988年12月までの間, 胃癌で胃切除術を実施した430例のうち現在生存中の331例(胃亜全摘301例, うちB-I再建215例, B-II再建86例, 胃全摘Roux-Y法再建30例)について, 術式別, リンパ節郭清別に胆石の発生頻度を検索した. 胆石の診断は超音波検査にて行なった. 胆嚢収縮能は超音波検査にて, 空腹時胆嚢面積及びCaerulein(0.3μg/kg)筋注した際の胆嚢最大収縮率を術後1ヵ月, 3ヵ月, 6ヵ月に検討した. 【結果】胆石発生頻度;胆石の存在を指摘されたのは22例(6.6%)であった. 術式別では, 全摘6例(20%), B-I法11例(5.1%), B-II法5例(5.8%)と全摘後の発生頻度が高かった. リンパ節郭清をR1と迷走神経肝枝を切離するR2以上(R2)に大別すると, 胆石発生頻度は, B-I法, R1 0%, R2 5.6%, B-II法, R1 3.9%, R2 8.6%, 全摘, R1 13%, R2 27%で同じ術式でもR2以上の郭清例に発生頻度が高かった. 胆石の種類;胃切除後胆石のうち4例に胆嚢摘出術が施行され胆石の種類は, 黒色石2例, ビリルビンカルシウム石2例で全て色素石であった. 空腹時胆嚢面積;術前の胆嚢面積に比し, 術後1ヵ月でB-I法1.21倍, B-II法1.25倍, 全摘1.34倍と腫大を認めた. 術後3ヵ月, 6ヵ月でも全摘例では腫大が持続した. 一方, 亜全摘例では, 腫大は軽度で胃切除後の回復も良好であった. 胆嚢最大収縮能;胃切除前の最大収縮率は59%であった. 各時期の最大収縮率を術式別に比較すると術後1ヵ月で, B-I法42%, B-II法38%, 全摘29%と術後1ヵ月では全例に収縮能の低下を認め, 全摘例で顕著であった. しかし, 術後3ヵ月では, B-I法52%, B-II法51%, 全摘47%, 6ヵ月後では, 各各, 60%, 61%, 57%と術後6ヵ月で術式に関係なく胆嚢収縮能は胃切除前に回復した. 【結論】1, 胃切除後胆石の発生頻度は, 胃全摘例とR2以上のリンパ節郭清例に高かった. 2, 空腹時胆嚢腫大は全摘例で著明でその回復は不良であった. しかし, 胆嚢収縮能は, 胃切除後早期に低下するが, 6ヵ月後には術前に回復した. 3, 胃切除後胆石の発生原因としてR2郭清に伴う迷走神経切離が関与するが, 胆嚢収縮能の低下のみを重視すべきではない.
ISSN:0914-0077