演題74 肝硬変合併胆石の成因に関する検討
私共は多数の食道静脈瘤症例の経験から, 肝硬変症における胆石症の高頻度合併を報告してきた. 今回は本症合併胆石の成因を調べる目的で, 肝胆道シンチグラフィー及び, 卵黄摂取後の血中CCK濃度の測定を試み, 肝硬変症における胆嚢の胆汁排泄機能を検討した. 昭和54年9月より昭和63年12月までの9年4ヵ月の間に当教室で経験した肝硬変症例541例の胆石合併率, 胆石存在部位, 種類を調査した. そして肝硬変症21例, 肝胆道系に何ら異常を認めない健常者11例を対象に99mTc-PMT肝胆道シンチグラフィーを用いて胆嚢の胆汁排泄機能を検討した. 早朝空腹時に99mTc-PMTを5mCi静注, 肝にお...
Gespeichert in:
Veröffentlicht in: | 胆道 1989, Vol.3 (3), p.330-330 |
---|---|
Hauptverfasser: | , , , , , , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | 私共は多数の食道静脈瘤症例の経験から, 肝硬変症における胆石症の高頻度合併を報告してきた. 今回は本症合併胆石の成因を調べる目的で, 肝胆道シンチグラフィー及び, 卵黄摂取後の血中CCK濃度の測定を試み, 肝硬変症における胆嚢の胆汁排泄機能を検討した. 昭和54年9月より昭和63年12月までの9年4ヵ月の間に当教室で経験した肝硬変症例541例の胆石合併率, 胆石存在部位, 種類を調査した. そして肝硬変症21例, 肝胆道系に何ら異常を認めない健常者11例を対象に99mTc-PMT肝胆道シンチグラフィーを用いて胆嚢の胆汁排泄機能を検討した. 早朝空腹時に99mTc-PMTを5mCi静注, 肝におけるRIの集積・排泄, さらに胆嚢へのRI流入を観察した. 続いて静注から60分後, 胆嚢がRIで充分に満たされた所で卵黄を2ヶ摂取させ, 30分間胆嚢のRI排泄を観察した. 肝及び胆嚢に関心領域を設定し, 得られたTime-Activity Curveより胆嚢のRI駆出率を求めた. 卵黄摂取前後の血中CCK濃度の推移についても観察した. 肝硬変症541例中胆石合併率は103例(19.0%)であった. 胆石の種類は黒色石が75.6%を占め, 存在部位をみると, 胆嚢内結石が97.1%と大部分であった. 99mTc-PMTを用いた肝胆道シンチグラフィーによる胆嚢の胆汁排泄能の検討では, 卵黄摂取後30分の胆嚢におけるRI駆出率は, 健常例の平均66.4%に比べ肝硬変症では平均42.9%と有意の低下が認められた. そしてICG-K値とRI駆出率の間に弱い相関関係が認められた. 卵黄摂取後30分間のCCKの分泌動態をみると, 健常者に比し, 肝硬変においてより高いCCKの血中濃度が観察された. 肝硬変症における胆石症の高頻度合併の成因について, 黒色石が多いことから, 演者らは脾機能亢進・溶血の関与を指摘してきた. 今回, 99mTc-PMTを用いた肝胆道シンチグラフィーによる胆嚢の胆汁排泄能の検討の結果, 肝硬変症では, 健常例に比し胆嚢の胆汁駆出の低下が判明し, この胆嚢内胆汁うっ滞も本症合併胆石形成の一助を成していると思われた. 卵黄負荷後の血中CCK濃度は, 肝硬変症では健常例よりも高値を示し, 胆嚢機能低下との関係が推察された. ICG-K値と胆汁駆出率との間に弱い相関関係がみられたが, 両者の関係は今後の検討課題と考えている. |
---|---|
ISSN: | 0914-0077 |