演題47 太径PTCSチューブを用いたPTCD内瘻化埋め込み術の臨床応用

〔緒言〕最近, 手術不能の閉塞性黄疸に対し, 種々の悲観血的胆道内瘻術が行われるようになった. 我々は手術不能の閉塞性黄疸の治療に, 太径のチューブを用いたPTCD内瘻化埋め込み術を9症例に施行し, 臨床的に発展できる可能性が示唆されたのでその方法と有用性について報告する. 〔対象および方法〕昭和62年7月以降, 9例の閉塞性黄疸に対しPTCD内瘻化埋め込み術を施行した. 原疾患の内訳は胆嚢癌4例, 胆管癌1例, 胃癌2例, 肺癌1例, 肝癌1例である. チューブは, ニプロ医工KKの16-20Fr PTCSチューブを用いた. 〔結果および考案〕効果判定として, 減黄効果と転帰について検討した...

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Veröffentlicht in:胆道 1989, Vol.3 (3), p.317-317
Hauptverfasser: 稲垣孝憲, 鈴木敏行, 小林英治, 森田敬一, 吉岡宣夫, 小川裕, 隈井知之, 石黒洋, 鈴木章古
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:〔緒言〕最近, 手術不能の閉塞性黄疸に対し, 種々の悲観血的胆道内瘻術が行われるようになった. 我々は手術不能の閉塞性黄疸の治療に, 太径のチューブを用いたPTCD内瘻化埋め込み術を9症例に施行し, 臨床的に発展できる可能性が示唆されたのでその方法と有用性について報告する. 〔対象および方法〕昭和62年7月以降, 9例の閉塞性黄疸に対しPTCD内瘻化埋め込み術を施行した. 原疾患の内訳は胆嚢癌4例, 胆管癌1例, 胃癌2例, 肺癌1例, 肝癌1例である. チューブは, ニプロ医工KKの16-20Fr PTCSチューブを用いた. 〔結果および考案〕効果判定として, 減黄効果と転帰について検討した. PTCD内瘻化埋め込み術施行9例においてPTCDにより既に低下していた血中総ビリルビン値の上昇はなかった. 胆嚢癌4例において3例は埋め込み, 術後無黄疸で経過しており, 何れも癌死した. 埋め込み日数は, それぞれ216日, 204日, 127日であった. 1例は埋め込み術後10日で, PTCDチューブより皮下に胆汁もれを認め, 外瘻化を施行した. 胆管癌1例においては345日間と長期間無黄疸で, 経過し一時的に社会復帰し癌死した. 胃癌2例において, 1例は埋め込み術後117日間無黄疸で経過し癌死した. 他の1例は埋め込み術後16日目に, 黄疸出現し, 外瘻化を施行した. 肺癌1例においては, 埋め込み術後45日間無黄疸で経過し癌死した. 肝癌1例においては埋め込み術後294日間無黄疸で経過し癌死した. 9症例の平均埋め込み期間は, 154日であった. 本来理想的なPTCD内瘻化埋め込み術とは挿入留置が安全かつ容易であること, 挿入後, 苦痛がなく, 十分にドレナージできる管径が得られること, 留置後にチューブの逸脱がないこと, 病巣が進行しても管径が維持されること, チューブが閉塞しにくく, 閉塞しても交換と再挿入が可能かつ容易であること, および患者が短期間といえども社会復帰できること等の条件を満たすものと考える. 従来から種々の内瘻化についての報告があるが, チューブの逸脱や胆泥による閉塞に苦慮することも多い. 簡単なチューブ交換のための工夫の報告もあるが, 全身状態の不良な癌末期の患者には容易でない. まだ経験症例数は9例と少ないが, 最長経過観察例では, 345日間黄疸の出現なく癌死しており, 太径チューブを用いたPTCD内瘻化埋め込み術は手術不能な閉塞性黄疸に対し, 有用な治療法になる可能性を持つことが期待できる.
ISSN:0914-0077