パネル4 胆嚢動脈造影による胆嚢癌の深達度診断‐切除標本アンジオグラムによる検討も含めて
今日, 胆嚢癌の診断は存在診断のみならず, 早期癌か否かを含めて, 正確な深達度診断まで要求されてきている. 今回, 既に報告してきた胆嚢動脈造影(以下C-Aと略)の深達度診断能を検討した. また, 血管造影による診断の限界を探る目的で, 切除標本のアンジオグラム(A-Gと略)を用いて, 動脈像と組織学的癌深達度との関係を詳細に対比検討した. (対象および方法) (1)最近2年間にC-Aを施行した胆嚢癌切除例は8例(造影成功率:12例中8例, 66.7%)で. 術前のC-Aと肝動脈造影(H-A)の診断能を比較した. その際, 深および浅胆嚢動脈の領域に分けて検討した. (2)A-Gによる検討は...
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Veröffentlicht in: | 胆道 1989, Vol.3 (3), p.287-287 |
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Hauptverfasser: | , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 今日, 胆嚢癌の診断は存在診断のみならず, 早期癌か否かを含めて, 正確な深達度診断まで要求されてきている. 今回, 既に報告してきた胆嚢動脈造影(以下C-Aと略)の深達度診断能を検討した. また, 血管造影による診断の限界を探る目的で, 切除標本のアンジオグラム(A-Gと略)を用いて, 動脈像と組織学的癌深達度との関係を詳細に対比検討した. (対象および方法) (1)最近2年間にC-Aを施行した胆嚢癌切除例は8例(造影成功率:12例中8例, 66.7%)で. 術前のC-Aと肝動脈造影(H-A)の診断能を比較した. その際, 深および浅胆嚢動脈の領域に分けて検討した. (2)A-Gによる検討は, C-Aを行った3例とC-Aは施行できなかったがA-Gの撮影された3例の計6例7病変(m:2, ss:4, se:1病変)を対象とした. 標本摘出後, 直ちにゼラチン加硫酸バリウムでA-G(摘出標本A-G)を撮影して切開, ホルマリン固定後に4~6mm間隔で全割し, 切り出しの前後で軟線撮影(固定標本, 全割固定標本A-G)を行った. 次に, 全割固定標本A-Gフイルム上に組織標本から, 直接に, 深達度の区分を記入し, 動脈の所見と対比した. その際, 対比をより厳密にするため, 割を入れた面のごく近傍(ほぼ2mm以内)の動脈のみを検討の対象にした. さらに固定および摘出標本A-Gを介して術前のC-Aと対比した. 動脈の異常としては, 広狭不整と閉塞を取り上げ, 微細な動脈の変化を拾いあげることも試みた. 深達度の分類は胆道癌取扱い規約に準じて, m, pm, ssおよびseに分け, ssについては, 高木らのsm胃癌の分類を参考にして, 便宜上, ss微小, ss中等度およびss深部浸潤の3つに分けた. (成績) (1)H-Aと比較し, C-Aの診断能が明らかに勝っており, 特に深胆嚢動脈の領域でその傾向が強かった. (2)A-Gによる検討対象7病変の深達度の区分は, m:38, pm:13, ss微小:22, ss中等度:11, ss深部浸潤:11, se:1ヵ所の, 計96ヵ所に分けられた. m, pm, ss微小浸瀾の部分では動脈の広狭不整や閉塞はみられなかったが, 後者の一部には微細な動脈の変化を認めた. 一方, ss中等度およびss深部浸潤では1ヵ所を除き21ヵ所に動脈の異常を認めた. また, ss微小浸潤では4次分枝までには異常を認めず, ss中等度浸潤では, 3, 4次分枝で初めて異常が現れることが多く, ss深部浸潤では2次分枝の異常が主体であった. (結論) C-Aは深達度診断の向上に有用で, ss中等度浸潤があるか否かの診断まではできる. 現状ではm, pmとss微小浸潤の間の鑑別は難しいが, A-Gの所見ではその可能性が示唆された. |
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ISSN: | 0914-0077 |