陶器様胆嚢4症例の赤外分光分析からみた検討

教室で経験した陶器様胆嚢4例について,赤外分光分析により石灰化胆嚢壁ならびに胆嚢内容物の無機カルシウム塩の分析を行った.臨床的には胆道疾患特有の症状を呈さず,全例胆石嵌頓による胆嚢管の閉塞がみられた.胆嚢の石灰化部位は,胆嚢全体にみられたものは1例で,3例では部分的な石灰化であった.石灰化胆嚢壁の無機カルシウム塩分析では主成分はリン酸カルシウム(hydroxyapatite)であったが,2例からは炭酸カルシウム(calcite型とaragonite型)が多量に検出された.胆嚢内容物では石灰乳胆汁の存在が3例に認められた.すなわち,2例の嵌頓結石に炭酸カルシウムの沈着がみられ,1例は白濁した胆嚢...

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Veröffentlicht in:胆道 1989/01/25, Vol.3(1), pp.55-60
Hauptverfasser: 阿部, 裕, 伊勢, 秀雄, 新谷, 史明, 高橋, 良延, 北山, 修, 小針, 正人, 鈴木, 範美, 松野, 正紀
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:教室で経験した陶器様胆嚢4例について,赤外分光分析により石灰化胆嚢壁ならびに胆嚢内容物の無機カルシウム塩の分析を行った.臨床的には胆道疾患特有の症状を呈さず,全例胆石嵌頓による胆嚢管の閉塞がみられた.胆嚢の石灰化部位は,胆嚢全体にみられたものは1例で,3例では部分的な石灰化であった.石灰化胆嚢壁の無機カルシウム塩分析では主成分はリン酸カルシウム(hydroxyapatite)であったが,2例からは炭酸カルシウム(calcite型とaragonite型)が多量に検出された.胆嚢内容物では石灰乳胆汁の存在が3例に認められた.すなわち,2例の嵌頓結石に炭酸カルシウムの沈着がみられ,1例は白濁した胆嚢胆汁であった.これらの所見から,陶器様胆嚢の石灰化は通常の組織の石灰化とは多少異なること,また,石灰乳胆汁の存在がこの石灰化になんらかの関連性を有する可能性が推察された.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando1987.3.1_55