演題175 閉塞性黄疸における抗生剤の胆汁移行について
(目的) 閉塞性黄疸にみられる急性胆管炎は, 時として急性閉塞性化膿性胆管炎へと発展し, 汎発性血管内凝固症候群(DIC)や, 多臓器不全(MOF)を代表とする重篤な病態をひきおこす. 今回, われわれは閉塞性黄疸の患者に対して経皮経肝胆道ドレナージ(PTBD)を行なった患者に胆汁移行のすぐれた抗生剤の一つであるセフォペラゾン(CPZ)と尿中, 胆汁中などへ排泄されるセフブペラゾン(CBPZ)とを経静脈的に投与し, 閉塞性胆管炎の際に用いられる抗生剤投与の意義を検討した. (方法) 超音波ガイド下にPTBDを行なった7人の閉塞性黄疸の患者にCPZを, 5人の同様の患者にCBPZを, PTBDに...
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Veröffentlicht in: | 胆道 1988, Vol.2 (3), p.413-413 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | (目的) 閉塞性黄疸にみられる急性胆管炎は, 時として急性閉塞性化膿性胆管炎へと発展し, 汎発性血管内凝固症候群(DIC)や, 多臓器不全(MOF)を代表とする重篤な病態をひきおこす. 今回, われわれは閉塞性黄疸の患者に対して経皮経肝胆道ドレナージ(PTBD)を行なった患者に胆汁移行のすぐれた抗生剤の一つであるセフォペラゾン(CPZ)と尿中, 胆汁中などへ排泄されるセフブペラゾン(CBPZ)とを経静脈的に投与し, 閉塞性胆管炎の際に用いられる抗生剤投与の意義を検討した. (方法) 超音波ガイド下にPTBDを行なった7人の閉塞性黄疸の患者にCPZを, 5人の同様の患者にCBPZを, PTBDに先立ち1gr one-shot静注し, 静注後2時間までの間にPTBDを施行し, 初回穿刺によって得られた胆汁中の抗生剤の濃度を測定した. さらにその後の減黄過程においても同様の方法で抗生剤を投与し, 胆汁中への抗生剤の移行と血中濃度を経時的に測定した. (結果) PTBD初回穿刺時に得られた胆汁中の抗生物質濃度は, CPZ, CBPZ共に極めて低く, また抗生剤投与からPTBDまでの時間と胆汁中への抗生剤の移行との間に関連はみとめられなかった. PTBD施行後の経時的な変化による胆汁中抗生剤濃度は, CPZ, CBPZ共に減黄によって胆汁への抗生剤の移行の増加が認められた. 一方, 主に胆汁排泄型の抗生剤であるCPZは, 黄疸によって胆汁への移行が低下している時には, コントロールに比し, 抗生剤の血中濃度は高い傾向にあるが, CBPZでは血清ビリルビン値の高い時期においても血中濃度は, コントロールと差異がみとめられなかった. (結論) 閉塞性黄疸においては, 抗生剤の胆汁中への移行は極めて不良で, 抗生剤の胆汁移行のためには, 胆道減圧ドレナージが必須であり, さらに胆汁排泄型の抗生剤の使用においては, 血中濃度が高く推移する傾向にあり, 抗生剤の使用に際しては投与量に関し十分な配慮が必要である. |
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ISSN: | 0914-0077 |