演題145 乳頭部癌の臨床病理組織学的ならびに免疫組織学的検討

「目的」:十二指腸乳頭部癌の外科治療上の問題点を明らかにするため, 切除例を対象としその切除標本を病理組織学的ならびに免疫組織学的に検討した. 「対象と方法」:過去13年間に当教室で経験した乳頭部癌は30例であり, 29例を手術し26例(89.7%)を切除した. 施行術式は膵頭十二指腸切除25例, 膵全摘1例であった. 切除26例中24例の切除標本を胆道癌取扱い規約に準じて病理組織学的に検討した. またCEA, CA19-9, DUPAN2に対する抗体を用いて免疫組織染色も施行し検討した. 「成績」:肉眼的形態は露出腫瘤型10例, 腫瘤潰瘍型8例, 潰瘍腫瘤型4例, 潰瘍型1例, 非露出腫瘤型...

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Veröffentlicht in:胆道 1988, Vol.2 (3), p.398-398
Hauptverfasser: 中尾昭公, 市原透, 黒江幸四郎, 原田明生, 野浪敏明, 岸本若彦, 木村保則, 鈴木祐一, 春日輝明, 岡田恒良, 笠井保志, 加藤秀幸, 滝茂実, 黒川剛, 高木弘
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「目的」:十二指腸乳頭部癌の外科治療上の問題点を明らかにするため, 切除例を対象としその切除標本を病理組織学的ならびに免疫組織学的に検討した. 「対象と方法」:過去13年間に当教室で経験した乳頭部癌は30例であり, 29例を手術し26例(89.7%)を切除した. 施行術式は膵頭十二指腸切除25例, 膵全摘1例であった. 切除26例中24例の切除標本を胆道癌取扱い規約に準じて病理組織学的に検討した. またCEA, CA19-9, DUPAN2に対する抗体を用いて免疫組織染色も施行し検討した. 「成績」:肉眼的形態は露出腫瘤型10例, 腫瘤潰瘍型8例, 潰瘍腫瘤型4例, 潰瘍型1例, 非露出腫瘤型1例であった. 組織型は乳頭腺癌9例, 高分化型管状腺癌9例, 中分化型管状腺癌3例, 低分化型管状腺癌1例, 粘液癌1例, 扁平上皮癌1例であった. 肉眼的形態と組織型との間には関連は認められなかった. 組織学的十二指腸浸潤はd0 5例(21%), d1 1例(4%), d2 18例(75%), 組織学的膵臓浸潤はpanc0 15例(62%), panc1 4例(17%), panc2 5例(21%)であった. リンパ節転移は11例(46%)に認め第1群の13ab, 17bに認められることが多かった. d0, 1の症例はリンパ節転移を認めなかった. 神経周囲浸潤は5例に認めたが, すべて膵臓浸潤を認める症例であった. 免疫組織染色の検討ではCEA, CA19-9, DUPAN2とも細胞膜全周ならびに細胞質全体に微細顆粒状に染色される(Grade II:cytoplasmic type without polarity)ことが多かったが, 癌細胞周囲の間質中にも染色される(Grade III:stromal type)ものもあり, このGIIIに染色されるものはすべて膵臓浸潤を認めた症例であった. 予後との関連を検討すると十二指腸浸潤が軽度なもの(d0, 1), リンパ節転移を認めないか認めても第1群までのものは予後良好であり, 膵臓浸潤(panc1, 2)を認めた症例は予後不良であった. 「結論」:予後との関連からも癌浸潤がOddi筋内にとどまるもの(d0)を早期乳頭部癌と考えることができる. 病理組織学的に膵臓浸潤を認めた症例は免疫組織染色においても細胞の悪性度が高いものと推察され予後も不良であった. 膵臓浸潤を認める症例には拡大手術に加えて集学的治療も考慮されるべきと考えられた.
ISSN:0914-0077