演題121 胆嚢摘出および無症状胆石合併と大腸癌発生に関する臨床統計学的検討

【目的】糞便中の2次胆汁酸の増加が大腸癌の発生に深く関与している事が指摘されている. そこで我々は胆汁酸代謝の面から, 胆摘および肥嚢結石と大腸癌発生の関連性について検討したので報告する. 【対象及び方法】最近17年間で当科で経験した結腸癌222例, 直腸癌198例, 合計420例の初発大腸癌を対象とした. 1. これらの症例の胆摘既往, 無症状胆石合併(胆石合併), 開腹手術既往について検討した. 2. 次にこれら症例と入院年次, 年令, 性を対応させた胃癌手術症例(胃癌群), 消化器内科入院患者(内科群)を抽出しmatched-pair control studyにより上記項目を検討した....

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Veröffentlicht in:胆道 1988, Vol.2 (3), p.386-386
Hauptverfasser: 佐藤敬文, 田中淳一, 嘉藤茂, 佐藤泰彦, 小山研二
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:【目的】糞便中の2次胆汁酸の増加が大腸癌の発生に深く関与している事が指摘されている. そこで我々は胆汁酸代謝の面から, 胆摘および肥嚢結石と大腸癌発生の関連性について検討したので報告する. 【対象及び方法】最近17年間で当科で経験した結腸癌222例, 直腸癌198例, 合計420例の初発大腸癌を対象とした. 1. これらの症例の胆摘既往, 無症状胆石合併(胆石合併), 開腹手術既往について検討した. 2. 次にこれら症例と入院年次, 年令, 性を対応させた胃癌手術症例(胃癌群), 消化器内科入院患者(内科群)を抽出しmatched-pair control studyにより上記項目を検討した. 3. さらに結腸癌を近位および遠位結腸癌の2群に分けて検討した. 4. 胆石合併例で, 摘出された胆嚢結石の種類を検討した. 【結果】1. 胆摘既応は, 結腸癌, 直腸癌ともに4例であったが, 胆石合併はそれぞれ18例(8.1%), 3例(1.5%)と結腸癌に高率であった. 胆摘を含む開腹手術既応はそれぞれ22%, 18%と差を認めなかった. 2. 大腸癌に対するmatched-pair control studyでの胃癌群内科群との間に, 胆摘既往および開腹手術既往の頻度に差がなかったが, 結腸癌群の胆石合併頻度が高度であった. さらに結腸癌群の胆摘既往は他の群のそれより若年であり, 胆石合併は女性に多かった. また胆摘既往結腸癌症例の年令は, 胆石合併症例より約9才若いが, 直腸癌症例では年令差は認めなかった. 3. 胆摘既往では4例全例が近位結腸癌であった. また胆石合併は, 近位結腸癌6例, 遠位結腸癌が12例と遠位結腸癌に多くみられ, そのうちS状結腸癌が9例と半数を占めていた. 4. 結腸癌全例, 直腸癌1例の計19例が胆摘を施行された. これら結石の種類は, 黒色石6例, ビ石4例で, 色素胆石が10例, 52%を占めた. これに対して同時期に摘出された全胆嚢結石症例365例では色素胆石の割合が32%であり, 結腸癌合併胆嚢結石症例に色素胆石の多い傾向が認められた. 【結語】臨床統計学的成績により, 胆摘および胆石同時合併が大腸癌の発生に関して促進的に作用している可能性が示唆された.
ISSN:0914-0077