診断困難で術前1年間の経過を観察した浸潤型胆嚢癌の1例

症例は61歳,女.胆石胆嚢炎として経過観察中,胆嚢内胆石の総胆管への移行による閉塞性黄疸をきたした.1年前の超音波検査(US)にて胆嚢内に約2cm大の胆石を認め,底部に腫瘤様エコーを認めた.肝とほぼ等エコー均一で辺縁は一部ポリープ状を呈し,肝との境界は明瞭であった.3週間後,同エコーは増大し,半年後には胆嚢壁全体の肥厚に変化した.1年後,胆嚢は著明に萎縮し,胆嚢内にあった胆石は消失し,総胆管内に胆石を認めた.萎縮した胆嚢の質的診断は困難で,術中迅速標本にて癌と判明した.拡大肝右葉切除術を施行したが,hinf2,n2(+)の浸潤型胆嚢癌で相対非治癒切除であった.USのスクリーニング化に伴い,結果...

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Veröffentlicht in:胆道 1988/04/25, Vol.2(2), pp.171-178
Hauptverfasser: 尾関, 豊, 鬼束, 惇義, 林, 勝知, 日野, 晃紹, 下川, 邦泰
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は61歳,女.胆石胆嚢炎として経過観察中,胆嚢内胆石の総胆管への移行による閉塞性黄疸をきたした.1年前の超音波検査(US)にて胆嚢内に約2cm大の胆石を認め,底部に腫瘤様エコーを認めた.肝とほぼ等エコー均一で辺縁は一部ポリープ状を呈し,肝との境界は明瞭であった.3週間後,同エコーは増大し,半年後には胆嚢壁全体の肥厚に変化した.1年後,胆嚢は著明に萎縮し,胆嚢内にあった胆石は消失し,総胆管内に胆石を認めた.萎縮した胆嚢の質的診断は困難で,術中迅速標本にて癌と判明した.拡大肝右葉切除術を施行したが,hinf2,n2(+)の浸潤型胆嚢癌で相対非治癒切除であった.USのスクリーニング化に伴い,結果的に経過観察可能であった胆嚢癌症例が報告されるようになった.しかし,浸潤型胆嚢癌への発育進展過程を観察しえた症例はみあたらない.自験例はこの発育進展過程を示唆する症例と考えられた.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando1987.2.2_171