総肝管近傍嚢胞の2症例

総肝管近傍に胆道系と交通のない嚢胞2例を経験し,その臨床的意義について検討した. 症例1は53歳, 男性で高血糖, 閉塞性黄疸にて入院. ERC にて胆嚢と肝の間に丸い石灰化像があり, それに起因する総肝管の狭窄像を認めた. 1カ月後のPTC では狭窄像は軽快しており,良性胆道狭窄と診断し手術を施行した.組織学的には胆嚢は慢性胆嚢炎の所見で,胆嚢頸部の肝側に線維化で覆われた石灰化を認めた. 症例2は56歳,女性で,肝硬変にて死亡後,剖検を施行した.剖検標本の胆道造影では胆管は肝門部を中心に正中線側より圧排を受け,肉眼的に胆嚢管分岐上に3×3cmの球状の嚢胞を認め,一部は肝に嵌入していた.組織学...

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Veröffentlicht in:胆道 1988, Vol.2(1), pp.101-108
Hauptverfasser: 宮治, 眞, 東, 克謙, 鈴木, 邦彦, 早川, 冨博, 星野, 信, 塚田, 勝比古, 片桐, 健二, 武内, 俊彦, 横地, 眞, 池田, 和雄, 大岩, 孝幸, 林, 活次
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:総肝管近傍に胆道系と交通のない嚢胞2例を経験し,その臨床的意義について検討した. 症例1は53歳, 男性で高血糖, 閉塞性黄疸にて入院. ERC にて胆嚢と肝の間に丸い石灰化像があり, それに起因する総肝管の狭窄像を認めた. 1カ月後のPTC では狭窄像は軽快しており,良性胆道狭窄と診断し手術を施行した.組織学的には胆嚢は慢性胆嚢炎の所見で,胆嚢頸部の肝側に線維化で覆われた石灰化を認めた. 症例2は56歳,女性で,肝硬変にて死亡後,剖検を施行した.剖検標本の胆道造影では胆管は肝門部を中心に正中線側より圧排を受け,肉眼的に胆嚢管分岐上に3×3cmの球状の嚢胞を認め,一部は肝に嵌入していた.組織学的には嚢胞壁は胆管系由来の上皮で被覆され,胆管との連続性はみられなかった.症例2の病態が退行性変化の結果として症例1のような石灰化を招来したと考えられた.また両者とも胆管との交通がみられず,総肝管近傍嚢胞と呼称した.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando1987.2.1_101