腫瘤形成型膵炎を合併した原発性硬化性胆管炎と思われる1例

今回,われわれは腫瘤形成型膵炎を合併した原発性硬化性胆管炎(PSC)と思われる1 例を経験した. 症例は6 3 歳, 男性で腹痛と黄疸を主訴として本院へ入院, 初回の腹部超音波検査にて肝内,外胆管の拡張がみられ,膵頭部に低エコーの腫瘤が認められたため膵癌が疑われた.PTCにおいては,下部胆管になめらかな狭窄像と肝門部の左右肝管起始部に狭窄像がみられた.ERCP,血管造影,胆道内視鏡所見では胆管癌,膵癌は否定的であり,超音波像で胆管のびまん性肥厚が認められたため,原発性硬化性胆管炎を強く疑った. そこで,入院5カ月後よりステロイド剤の投与を開始したところ,膵腫瘤は縮小し,胆管狭窄所見の改善も認め...

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Veröffentlicht in:胆道 1987/11/20, Vol.1(3), pp.428-435
Hauptverfasser: 星野, 知久, 堀口, 祐爾, 大漉, 正夫, 北野, 徹, 今井, 英夫, 高川, 寛子, 伊藤, 圓, 山川, 真, 中村, 従之, 宮川, 秀一
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:今回,われわれは腫瘤形成型膵炎を合併した原発性硬化性胆管炎(PSC)と思われる1 例を経験した. 症例は6 3 歳, 男性で腹痛と黄疸を主訴として本院へ入院, 初回の腹部超音波検査にて肝内,外胆管の拡張がみられ,膵頭部に低エコーの腫瘤が認められたため膵癌が疑われた.PTCにおいては,下部胆管になめらかな狭窄像と肝門部の左右肝管起始部に狭窄像がみられた.ERCP,血管造影,胆道内視鏡所見では胆管癌,膵癌は否定的であり,超音波像で胆管のびまん性肥厚が認められたため,原発性硬化性胆管炎を強く疑った. そこで,入院5カ月後よりステロイド剤の投与を開始したところ,膵腫瘤は縮小し,胆管狭窄所見の改善も認められたため外来通院とした.退院後も,生化学的検査などに特に異常を認めなかったが,5カ月後に再び黄疸が出現し,再入院した.超音波検査では胆管壁はいっそう肥厚し,胆道造影では肝内外胆管全域に硬化像が認められ,PSCの所見に合致した.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando1987.1.3_428