演題123 胆のう平滑筋と壁在神経

胆道系の筋及び神経支配の形態像にはいまだ統一した見解がみられない. これまで平滑筋と神経が胆のう壁構造のもつ運動機能に重要な役割を果していると考えられてきた. そこで胆のう平滑筋構造を再構築し, 共存する神経線維を併せて概観したので報告する. 【方法】胆道系臓器に病変のない剖検例から得られた胆のうを用いた. 筋層検索用に胆のう漿膜と水平方向に連続切片を作製しMasson三染色を行った. 次にcamera lucida下にて筋束をトレースし, 筋層の再構築を試みた. 神経線維についてはBraitenbergのGolgi変法を用いた. 【結果】筋束は粘膜面より漿膜面に至るまで一連のつながりをみとめ...

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Veröffentlicht in:胆道 1987, Vol.1 (2), p.332-332
Hauptverfasser: 須貝道博, 田村英嗣, 小野慶一, 高屋豪瑩
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:胆道系の筋及び神経支配の形態像にはいまだ統一した見解がみられない. これまで平滑筋と神経が胆のう壁構造のもつ運動機能に重要な役割を果していると考えられてきた. そこで胆のう平滑筋構造を再構築し, 共存する神経線維を併せて概観したので報告する. 【方法】胆道系臓器に病変のない剖検例から得られた胆のうを用いた. 筋層検索用に胆のう漿膜と水平方向に連続切片を作製しMasson三染色を行った. 次にcamera lucida下にて筋束をトレースし, 筋層の再構築を試みた. 神経線維についてはBraitenbergのGolgi変法を用いた. 【結果】筋束は粘膜面より漿膜面に至るまで一連のつながりをみとめ, 単一構造を示した. 筋束は大きく粘膜面, 中心部, および漿膜面に三区分された. 粘膜面では基幹筋束として横走する筋束とこれより派生したアメーバー儀足状の分枝がみられ, 組み格子状を呈していた. 空隙の大きさは直径300~450μmで吻合筋束間にも空間がみられた. 中心部の筋束の巾は縦断, 横断でいずれも最大となっていた. これより派生した筋束とでつくられる空隙の大きさは約1000~1500μmと最大を示し, 全体像は格子状, 網状構造を呈していた. 漿膜面では筋束の巾が狭くなり, これら小筋束が重畳し, これより横に派生した筋束との間につくられた空隙は卵型を呈していた. 空隙とは別に吻合筋束間にも空間をつくり縦横のトンネルがみられた. 筋層の三次元構築に対する神経分布をGolgi変法を用いて検討したところ, 縦断切片では漿膜下層に隣接した平板状筋層内に繊細な神経線維がみられた. 神経線維は筋線維の走行に沿って蛇行し, 線維間には一部網状形成がみられた. 水平断切片では筋束間に網状の神経叢がみられ, これより警束周囲に向かってのびる神経線維がみとめられた. また筋束周囲神経線維の一部は筋束内へとのび小神経網を形成していた. 筋束周囲および筋束内に分布する神経線維は顕微鏡下で焦点深度を変えることにより分布の相異を示した. 二つの組格子状構造の連絡部位にみられた神経線維は網目構造を示し, 筋束周囲より筋束内へと広がりをみとめた. また筋束周囲に広がっていく神経線維と直角に交叉し筋束表面を走行する小神経束がみられた. 【まとめ】今回われわれが作製した筋構築像は網状構造をもった単一構造を示しており, 大きく三区分された. この中で粘膜面側から漿膜面側の筋束に至るまで一連のつながりがみられたことは収縮運動をおこす条件を備えていると考えられた. これには間隙や筋層内に分布する壁在神経が密接な関与をなしていると思われ, 神経支配は胆のう平滑筋を中心とした分布を示した.
ISSN:0914-0077