演題117 Oddi括約筋の機能と形態の選択的評価
Oddi括約筋は胆汁排出調節を担う重要な機能を有している. 胆道内圧測走によりOddi括約筋の機能を選択的に評価する為には, 胆道の弾性と容積の影響を除く事が必要と考えられる. 今回, バルーン付胆道カテーテル(以下BC)及びダブルバルーンT-チューブ(以下DB)を用い, 若干の知見を得たので報告する. 対象及び方法:胆嚢結石症17例, 総胆管結石症3例を対象とした. 前者では術中に胆嚢管よりBCを乳頭部近くまで挿入し, バルーン収縮時及び拡張時に胆道内圧を測定した. バルーンの拡張により胆道の影響を除く事が可能である. 又, 後者ではDBを総胆管内に留置し術後に胆道内圧を測定した. DBは肝...
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Veröffentlicht in: | 胆道 1987, Vol.1 (2), p.329-329 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | Oddi括約筋は胆汁排出調節を担う重要な機能を有している. 胆道内圧測走によりOddi括約筋の機能を選択的に評価する為には, 胆道の弾性と容積の影響を除く事が必要と考えられる. 今回, バルーン付胆道カテーテル(以下BC)及びダブルバルーンT-チューブ(以下DB)を用い, 若干の知見を得たので報告する. 対象及び方法:胆嚢結石症17例, 総胆管結石症3例を対象とした. 前者では術中に胆嚢管よりBCを乳頭部近くまで挿入し, バルーン収縮時及び拡張時に胆道内圧を測定した. バルーンの拡張により胆道の影響を除く事が可能である. 又, 後者ではDBを総胆管内に留置し術後に胆道内圧を測定した. DBは肝側又は乳頭側のバルーンを拡張させる事により総胆管内腔及びチューブ内腔を自由に閉塞する事ができる. 肝側バルーンの拡張により, 上部胆道系の影響を除き, より選択的な乳頭部機能評価が可能となる. 尚, 内圧測定は可速流量式胆道内圧測定器(別府1986)を用い, 定流量(0.5ml/sec)及び加速流量(0.2又は0.02ml/sec2)で測定した. 又, バルーンを拡張させた状態で, 下部胆道の選択的造影を行ない, 胆管末端の形態についても検討した. 結果:I), 胆嚢結石症例;i), 定流量(N=12):バルーン拡張時には収縮時に比較して, 灌流圧に達っする時間及び回復時間が短縮した. 又, 7例では灌流圧が上昇した. ii), 加速流量(N=17):拡張時に8例では圧上昇が大きかった. 0.5ml/sec時の圧上昇(△P 0.5)は収縮時17.8±11.3, 拡張時20.9±10.9ml salineであった. II), 総胆管結石症例(N=3);i), 定流量;肝側バルーン拡張時には灌流圧に到達するまでの時間が短縮した. ii), 加速流量;拡張時, 圧上昇に有意差はなかったが, 収縮波が出現しやすかった. III), バルーン拡張により, 下部胆管造影でより鮮明な像が得られた. 考察:灌流法による胆道内圧測定時, 特に総胆管の拡張した症例では, 胆道内圧は胆道の弾性と容積の影響をうけ, 正確な乳頭部機能評価は困難である. そこで, 我々は胆嚢結石症例にBC, 総胆管結石症例にはDBを用い, できるだけ選択的に乳頭部機能を評価しようと努めてきた. 今回の検討では, 注入量増加に伴い胆嚢結石症例では胆道内圧の上昇が認められたものの, 総胆管結石症例では圧上昇が軽度であり, 乳頭機能不全の存在が疑われた. 今後も臨床例をふやし, 検討を続けていく予定である. 結語:バルーン付胆道カテーテル, ダブルバルーンT-チューブを用い胆道内圧測定を施行し, 選択的に乳頭部機能評価をしたところ, 胆道の弾性と容積は胆道内圧にかなりの影響を与えている事が判明した. |
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ISSN: | 0914-0077 |