演題102 肝内結石症における内視鏡的截石術後の胆汁流出動態の評価とその意義
肝内結石症(以下, 本症)における内視鏡的診断治療法は各種砕石法や選択的胆管穿刺法などの開発により向上してきている. 演者らも経皮経肝胆道鏡下截石術(PTCSL)を第一選択とし, 結石除去後に十分な胆道系の精査を行っている. 本症に見られる「胆管狭窄」にはX線上狭窄にみえるが截石後内視鏡的には狭窄が存在しないもの, 内視鏡的にも狭窄を認めるもの, さらに後者にはダイレーターなどで拡張(PTCP)可能なものとそうでないものが存在する. 一方, 胆管拡張に関しては截石術後に拡張がとれるものや明らかな狭窄がないのに結石除去後でも拡張が残存するものがある. しかし, これらの「狭窄」や「拡張」の病的意...
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Veröffentlicht in: | 胆道 1987, Vol.1 (2), p.322-322 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 肝内結石症(以下, 本症)における内視鏡的診断治療法は各種砕石法や選択的胆管穿刺法などの開発により向上してきている. 演者らも経皮経肝胆道鏡下截石術(PTCSL)を第一選択とし, 結石除去後に十分な胆道系の精査を行っている. 本症に見られる「胆管狭窄」にはX線上狭窄にみえるが截石後内視鏡的には狭窄が存在しないもの, 内視鏡的にも狭窄を認めるもの, さらに後者にはダイレーターなどで拡張(PTCP)可能なものとそうでないものが存在する. 一方, 胆管拡張に関しては截石術後に拡張がとれるものや明らかな狭窄がないのに結石除去後でも拡張が残存するものがある. しかし, これらの「狭窄」や「拡張」の病的意味に関しては十分に解明されていない. このためにはこれら病的胆管における胆汁うっ滞程度を把握することが大切と考えられる. また本症では病期が進行すると罹患区域の肝機能廃絶をきたす. この部位の診断は正確な肝切除術式を決定する. そこでPTCSにて截石術後, 胆道シンチグラフィーによる肝胆道の胆汁流出動態の評価を行い, 若干の知見を得ているので報告する. 対象ならびに方法:教室で経験した肝内結石症は18例(I型ないしIE型は14例, IE型は4例). 13例にPTCSLを施行. PTCSによる結石の除去は12例に成功, 内視鏡的にも総肝管以上の狭窄を認めたものは6例, PTCPによる狭窄部の拡張は4例に成功. これら13例のなかで, 結石遺残がなく, 胆道負荷手術の既往もない9例(I型ないしIE型は6例, IE型は3例. うち胆管狭窄はI型, IE型の3例に存在, 全例PTCPに成功. )を対象に, 胆道シンチを行い, 右肝管, 左肝管, 総胆管, 十二指腸に関心領域を設定し, それらのtime-activity curveを作成し, peak-time, rate of decrease(ROD)を中心に検討を加えた. 結果:本症では結石除去後でも肝内外胆管の胆汁うっ滞がみられ, 特に総胆管におけるうっ滞が高頻度で, 乳頭部の機能障害を認めた. また2例に外側区域の実質像が得られず, 肝外側区域切除の適応となった. ボランティアの胆管正常例と統計的有意差をみると, I型ないしIE型では総胆管のpeak-timeは有意に遅延しており, IE型ではいずれの領域でも有意に遅延していた. RODも同様にI型ないしIE型の症例の左肝管において有意に低下していた. 結語:肝内結石症の診断治療にあたって, PTCSに胆道シンチグラフィーよる機能的診断法を組合わせることにより病的胆管領域をより正確に診断することが可能である. |
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ISSN: | 0914-0077 |