演題94 肝内結石症の集学的外科治療(早期発見システムと術中超音波検査の有用性)

肝内結石症(以下本症)の外科治療の基本は結石の完全除去と肝内胆汁うっ滞の解除であるが, 病態の複雑さのために一定した治療法はなく個々の例に応じた治療法を選択せねばならない情況である. 我々は病変部位の完全除去を目的として肝切除を第一に選択してきたが, 肝内両葉型や肝予備能低下例では, 肝切除を回避せざるをえず本症の外科治療の困難性を物語っている. 今回は, 当院における本症外科治療の現況と共に, 早期発見システムについて報告する. (対象・方法・結果)過去15年間の本症手術症例は58例であるが, 最近の3年間で30例を数え, とりわけ肝切除を伴う症例が19例(63.3%)にもおよび, 例数の急...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:胆道 1987, Vol.1 (2), p.318-318
Hauptverfasser: 草野敏臣, 古川正人, 中田俊則, 酒井敦, 瀬戸口正幸, 林詫欽, 立花一幸, 井上啓爾, 藤井秀治, 大坪光次
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:肝内結石症(以下本症)の外科治療の基本は結石の完全除去と肝内胆汁うっ滞の解除であるが, 病態の複雑さのために一定した治療法はなく個々の例に応じた治療法を選択せねばならない情況である. 我々は病変部位の完全除去を目的として肝切除を第一に選択してきたが, 肝内両葉型や肝予備能低下例では, 肝切除を回避せざるをえず本症の外科治療の困難性を物語っている. 今回は, 当院における本症外科治療の現況と共に, 早期発見システムについて報告する. (対象・方法・結果)過去15年間の本症手術症例は58例であるが, 最近の3年間で30例を数え, とりわけ肝切除を伴う症例が19例(63.3%)にもおよび, 例数の急増が特徴的である. その中で, 術前の画像診断で確診できなかった肝内胆管癌3例を経験し, 特に1例は異型胆管上皮の一部が癌化したと思われる早期の胆管癌例であり, 本症の外科治療として病的胆管を含む正確な肝切除の必要性を再認識させられた. 病型的にみると, IE型からI型ないしはIE型の増加が肝切除例増加の一因であり, 無侵襲性画像診断機器の改良普及が大きく関与しているものと考えられた. 外科治療上問題となる狭窄部を含む肝切除ができなかった11症例中, 切石困難例4例(IE・RL型)に, 術中超音波検査を応用し, 両側(肝門と末梢胆管)からの, はさみうち法による切石および付加手術(肝内胆管総胆管空腸側々吻合)を行い術後経過も良好であった. 又昨年から術後の処置として5例に電気水圧衝撃波を用いた内視鏡による載石を行い, 従来のLASERなどより結石破砕や胆管損傷が少ない点で優れていた. 更に本症の外科治療成績を更に向上させるため, すなわち難治性のIE・RL型に進行する前の病態解明のため, 本症多発地区である長崎県上五島地区における547名の学童を対象とした腹部超音波による集団検診を行った結果, 総胆管拡張症1名, 肝内石灰化2名, 胆嚢コレステローシス1名の他本症の初期像とも考えられる無症候性のI・L型の1例(13才, ♂)を発見しており(有病率0.9%)今後の経過観察が期待される. (結語)1. 本症に対する術式として肝切除術の急増が最近の特徴であった. (19例/30例)1984~1986 2. 肝内胆管癌を3例に合併し, 早期に発見し病的胆管を含む正確な肝切除術が本症の第一選択術式と考えた. 3. IE・RL型切石困難例に術中超音波検査と, 電気水圧衝撃波による内視鏡的載石が有効であった.
ISSN:0914-0077