演題69 膵液胆道内逆流が著明であった両葉型肝内結石症合併肝内胆管癌の1例
膵液の胆管内逆流が著明な肝内結石症で, 肝内胆管癌を偶発したと思われる1例を経験したので報告する. 【症例】48歳男性, 主訴:上腹部痛, 発病および経過:昭和46年上腹部痛にて総胆管結石症の診断により胆摘, 総胆管切開切石術をうけた. その後も頻回に胆管炎症状をみたが保存的に加療. 昭和59年, US所見で陽葉型肝内結石症と診断され当科を受診した. 入院時所見:逆行性胆管造影で, 肝内外胆管拡張および狭窄高度, 両葉の結石を認めた. CT所見では右葉前区, 外側区にlow density areaをみた. 血管造影では門脈左枝, 右門脈前枝の完全閉塞と側副血行路を認めた. 胆道の病態はGx...
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Veröffentlicht in: | 胆道 1987, Vol.1 (2), p.303-303 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 膵液の胆管内逆流が著明な肝内結石症で, 肝内胆管癌を偶発したと思われる1例を経験したので報告する. 【症例】48歳男性, 主訴:上腹部痛, 発病および経過:昭和46年上腹部痛にて総胆管結石症の診断により胆摘, 総胆管切開切石術をうけた. その後も頻回に胆管炎症状をみたが保存的に加療. 昭和59年, US所見で陽葉型肝内結石症と診断され当科を受診した. 入院時所見:逆行性胆管造影で, 肝内外胆管拡張および狭窄高度, 両葉の結石を認めた. CT所見では右葉前区, 外側区にlow density areaをみた. 血管造影では門脈左枝, 右門脈前枝の完全閉塞と側副血行路を認めた. 胆道の病態はGx Bb Hb-〔IE, LR, S2, rh, D2cb~〕Spocde~deである. 入院時AFP3.0ng/ml, CEA3.3ng/ml, CA19-9は1.000であった. また胆汁中アミラーゼ値は50,000であったが画像上膵胆管合流異常は証明できなかった. 入院後経過:血管造影所見で門脈左枝の完全閉塞があり, 主病巣である右葉切除を断念, PTCS, 総胆管ドレナージによる切石を施行, 経過を観察した. 経過中CEA値は漸次増加し, 入院後6ヵ月目9.7ng/ml, 1年目500ng/mlとなったため, 超音波ガイド下肝生検を行ったところ右葉よりadenocarcinomaの所見を得た. 切除困難であるため体外照射を行ったが, 当科入院後497日目に死亡した. 剖検所見:右葉に11×5.5cmの巨大腫瘍と, その周囲に多数の娘結節を認め, 外側区に径2cmの腫瘍を認めた. 門脈は肝門部で血栓性に閉塞, 組織学的には中心壊死巣を伴う腫瘍が, 結石をみる胆管より上流に存在し, 周辺浸潤部は低分化型腺癌像を示した. periductal spaceに沿った浸潤が著明であった. また抗CEA抗体を用いたPAP法染色では, 腺腔に面したluminal borderに強い染色性を示した. 【考案診よび結語】膵液逆流が著明な肝内結石症合併肝内胆管癌の1例を報告した. 本症例は比較的若年に発生し, 胆管形態異常をともなう両葉型肝内結石症と診断し, 加療中に腫瘍マーカー異常値を契機に肝内胆管癌と確認された例で, 膵液の逆流と肝内結石の成因発癌などの因果関係を強く示唆する症例と考えられた. |
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ISSN: | 0914-0077 |