演題68 超音波内視鏡が有用であった膵胆管合流異常に合併した胆嚢癌の1例
膵胆管合流異常には胆道系悪性腫瘍が高率に合併する. しかしそのほとんどが進行癌で, 内視鏡的逆行性膵胆管造影(ERCP)ではしばしば胆嚢が描出されないことがある. われわれは合流異常に合併した胆嚢癌で, ERCPでは胆嚢が造影されず, 超音波内視鏡により腫瘍を詳細に観察し得た症例を経験したので報告する. 【症例】58歳, 男性. 主訴は右季肋部痛. 肝機能検査等に異常なく, 腹部超音波検査にて総胆管の拡張と胆嚢隆起性病変を認めた. ERCPでは膵管合流型の膵胆管合流異常(共通管長23mm)を認め, 先天性胆管拡張症(戸谷分類Ia型)を合併していたが, 胆嚢は造影されなかった. 超音波内視鏡では...
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Veröffentlicht in: | 胆道 1987, Vol.1 (2), p.302-302 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 膵胆管合流異常には胆道系悪性腫瘍が高率に合併する. しかしそのほとんどが進行癌で, 内視鏡的逆行性膵胆管造影(ERCP)ではしばしば胆嚢が描出されないことがある. われわれは合流異常に合併した胆嚢癌で, ERCPでは胆嚢が造影されず, 超音波内視鏡により腫瘍を詳細に観察し得た症例を経験したので報告する. 【症例】58歳, 男性. 主訴は右季肋部痛. 肝機能検査等に異常なく, 腹部超音波検査にて総胆管の拡張と胆嚢隆起性病変を認めた. ERCPでは膵管合流型の膵胆管合流異常(共通管長23mm)を認め, 先天性胆管拡張症(戸谷分類Ia型)を合併していたが, 胆嚢は造影されなかった. 超音波内視鏡では, 胆嚢底部から体部に不整な多発性隆起性病変を認めた. 大きな隆起の部位では胆嚢壁層構造は不明瞭であったが, 小隆起の部位では3層構造が描出されたことから, それぞれ深達度の異なる多発性腫瘤を形成した胆嚢癌と診断した. 摘出標本では胆嚢底部から体部に多発する乳頭状腫瘍を認め, 頸部および胆嚢管には粘稠な粘液が充満していた. 胆嚢および総胆管内胆汁中アミラーゼはそれぞれ60IU/l, 1690IU/lであった. 組織学的には乳頭状腺癌で, 各々の腫瘤は連続性をもち漿膜下層まで浸潤していたが, 一部の小隆起では腫瘍の主体は粘膜ないし粘膜下層にあり, 少数の腫瘍腺管が筋層に達しているのみであった. また, 小結節状の肝転移, リンパ節転移が存在した. 【まとめ】われわれの経験した膵胆管合流異常は10例で, 4例に胆嚢癌, 1例に総胆管癌を合併しており, 悪性腫瘍の合併率は50%と高率であった. 癌合併例は全例ERCPで胆嚢不造影であり, その原因は癌浸潤, 結石, 粘稠な粘液などであった. 一方, 超音波内視鏡は体壁や腸管ガスの影響を受けず胆嚢をスキャンできるため, 体外式超音波検査に比し病変をより詳細に観察できる. 近年, 合流異常に合併した胆嚢癌の報告が増加しているが, 超音波内視鏡により, より早期の胆嚢癌を発見し得る可能性が示唆された. |
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ISSN: | 0914-0077 |