演題59 膵胆管合流異常を伴なった胆道癌症例の検討

【対象】十二指腸乳頭部括約筋の作用が及ばない上流で膵管系と胆管系が合流する膵胆管合流異常は, 最近11年間のERCP2549症例中31例(1.3%)に認めた. これらには総胆管の嚢腫状拡張を伴なわない.16例と先天性総胆管嚢腫の15例があった. 【胆道癌の併存】非嚢腫状拡張16例では, 胆嚢癌5例, 胆管癌2例の計7例(43.7%)に胆道癌の併存を認めた. 1例を除き残る6例は女性であり, 平均年令69.7才であった. 全例stage IVの進行癌であった. 嚢腫状拡張の15例では, 胆嚢癌3例, 胆管癌2例の計5例(33.3%)に胆道癌の併存があった. 1例を除き4例が女性であり, 平均年令...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:胆道 1987, Vol.1 (2), p.298-298
Hauptverfasser: 近藤博満, 田畑育男, 伊沢友明, 江川直人, 神沢輝実, 岡本篤武
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:【対象】十二指腸乳頭部括約筋の作用が及ばない上流で膵管系と胆管系が合流する膵胆管合流異常は, 最近11年間のERCP2549症例中31例(1.3%)に認めた. これらには総胆管の嚢腫状拡張を伴なわない.16例と先天性総胆管嚢腫の15例があった. 【胆道癌の併存】非嚢腫状拡張16例では, 胆嚢癌5例, 胆管癌2例の計7例(43.7%)に胆道癌の併存を認めた. 1例を除き残る6例は女性であり, 平均年令69.7才であった. 全例stage IVの進行癌であった. 嚢腫状拡張の15例では, 胆嚢癌3例, 胆管癌2例の計5例(33.3%)に胆道癌の併存があった. 1例を除き4例が女性であり, 平均年令は57.8才であった. stage III(S2)で絶対的治癒切除可能(3.5年生存)であった胆嚢癌の1例を除き, 残る4例はstage IVであった. 【胆嚢癌と膵胆管合流異常】同期間に手術またに剖検により診断確定された胆嚢癌は106例であった. このうちERCPまたはPTCによって合流形態の明らかなものは61例であった. 胆嚢癌で膵胆管合流異常を併存する(8例)頻度は12.9%である. 一方, 膵胆管合流異常に胆嚢癌が併存する頻度は25.8%, 胆管癌を加えて胆道癌の併存する頻度は38.7%であった. 【まとめ】膵胆管合流異常に胆道癌(ことに胆嚢癌)が併発する頻度は高い. これらはほとんどが進行癌である. 嚢腫型はできる限り早い時期に根治切除すべきことに異論はないが, 胆管非拡張の合流異常症例の治療方針は如何に在るべきか, 重要なる問題点である.
ISSN:0914-0077