演題50 当院における膵胆管合流異常の検討
膵胆管合流異常は, 胆道疾患や膵疾患を合併する頻度が高い. 最近, 当院において経験した膵胆管合流異常について検討を加え, 特に経過観察中に胆石症, 膵炎, および膵石症を合併した3例を中心に報告する. 〔対象〕昭和56年4月から昭和62年2月末まで当院で施行したERCP 891例中, 本症を認めた症例は7例(0.78%)であった. 年令別では, 30才未満3例, 30~39才まで1例, 40~49才まで2例, 60才以上1例であり, 平均年令は35才であった. 〔結果〕合流形式は, 胆管合流型3例, 膵管合流型4例, 平均共通管長24.4mmであり, 胆管拡張症は2例であった. 主訴は, 右...
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Veröffentlicht in: | 胆道 1987, Vol.1 (2), p.293-293 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 膵胆管合流異常は, 胆道疾患や膵疾患を合併する頻度が高い. 最近, 当院において経験した膵胆管合流異常について検討を加え, 特に経過観察中に胆石症, 膵炎, および膵石症を合併した3例を中心に報告する. 〔対象〕昭和56年4月から昭和62年2月末まで当院で施行したERCP 891例中, 本症を認めた症例は7例(0.78%)であった. 年令別では, 30才未満3例, 30~39才まで1例, 40~49才まで2例, 60才以上1例であり, 平均年令は35才であった. 〔結果〕合流形式は, 胆管合流型3例, 膵管合流型4例, 平均共通管長24.4mmであり, 胆管拡張症は2例であった. 主訴は, 右季肋部痛3例, 心窩部痛3例であり, 無症状の1例は健診での発見例であった. 合併症では, 胆嚢癌3例(平均年令51.3才), 胆石症2例(29.5才), 膵炎3例(32.3才), 膵石症2例(25.5才)であり, いずれも本症を認めない例と比較して, 若年者に発症する傾向があった. また, 5例に施行された膵外分泌能検査では, 4例に膵外分泌機能低下がみられた. 7例のうち, 経過観察中に膵石症, 膵炎, 胆石症を合併した3例について呈示する. 症例1. 18才女性. 膵管合流型. 共通管長20mm. 2才時に開腹術にて本症を指摘されている. その後頻回の腹痛発作をきたし, 14才で当院受診時に著明な高アミラーゼ血症と膵外分泌機能障害を認め, 膵石症を合併した慢性再発性膵炎と診断された. 症例2. 26才男性. 経過観察中に胆石症を合併した例である. 胆管合流型. 共通管長35mm. 24才時に本症を指摘され, 経過観察していたが, 26才時に胆石症を合併し, 胆嚢胆管切除総肝管空腸吻合術を施行した. 症例3. 33才女性. 経過観察中に胆石膵炎を合併した例である. 胆管合流型. 共通管長18mm. 29才時に本症を指摘され, 手術をすすめられたが, 出産直後であったため経過観察となった. 33才時に共通管への結石嵌頓による急性膵炎および急性化膿性胆管炎により, ショック状態に陥ったが, 緊急PTCD術にて救命した. 症例2と同様に, 胆嚢胆管切除総肝管空腸吻合術を施行した. (結論)本症には胆管拡張の有無に拘らず, 胆嚢癌, 膵炎, 膵石症, 胆石症などの膵胆道疾患が高率に合併した. 特に, 若年者では経過観察中に膵石症, 膵炎, 胆石症を合併した興味深い症例も経験した. 今後, 本症と診断した際には, 胆道癌および膵外分泌機能障害の発生を念頭におき, 胆管拡張の有無に拘らず, 胆汁と膵液を分流させる手術を施行すべきと考える. |
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ISSN: | 0914-0077 |