メカニカルストレスの惹起するマウス牽引側歯根膜におけるRunx2に対する促進因子としてのMsx2の役割

【目的】 歯科矯正治療により歯周組織が反応を起こし歯は動かされる. 歯槽骨の当該歯根膜腔の牽引側表面には骨芽細胞, 圧迫側には破骨細胞が出現し, 骨の吸収と添加を起こす. これら反応に重要な位置を占めるのは歯根膜である. この主細胞である歯根膜線維芽細胞に関し, in vitroの実験系において歯根膜線維芽細胞に骨芽細胞のマーカーであるアルカリフォスファターゼ(ALP)の活性が確認され, またRunx2やMsx2という転写因子が発現していることが明らかにされた1). しかし, これらの転写因子はいずれもその転写活性が低い状態で保たれていることが報告されている2). Runx2は骨芽細胞の分化過...

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Veröffentlicht in:松本歯学 2009, Vol.35 (3), p.319-320
1. Verfasser: 渡邉武寛
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:【目的】 歯科矯正治療により歯周組織が反応を起こし歯は動かされる. 歯槽骨の当該歯根膜腔の牽引側表面には骨芽細胞, 圧迫側には破骨細胞が出現し, 骨の吸収と添加を起こす. これら反応に重要な位置を占めるのは歯根膜である. この主細胞である歯根膜線維芽細胞に関し, in vitroの実験系において歯根膜線維芽細胞に骨芽細胞のマーカーであるアルカリフォスファターゼ(ALP)の活性が確認され, またRunx2やMsx2という転写因子が発現していることが明らかにされた1). しかし, これらの転写因子はいずれもその転写活性が低い状態で保たれていることが報告されている2). Runx2は骨芽細胞の分化過程において, その初期では分化を促進することが知られている. Msx2は他の転写因子を促進または抑制することで, 形態形成の調節因子として働いていると言われている. 培養歯根膜線維芽細胞におけるRunx2とMsx2の発現状態の研究はなされているが, in vivoにおける研究は非常に少なく, さらにメカニカルストレスによる歯周組織における変化を免疫組織化学的に検討している報告は見当たらなかった.
ISSN:0385-1613