7. 人歯3次元モデルの作製 第2報―齲蝕歯モデル

【目的】現在医療分野においては, CT, MRI等の画像が一般的に使用されており, それに伴って人体の3次元モデルが多く作製され, 研究や治療, 学生の教育に盛んに活用されている. これに対し, 歯科領域においては, CTの導入の遅れも原因して3次元モデルすら存在せず, 教育分野における活用もなされていないのが現実である. 著者らは, 誰もが使用できる3次元人歯データーベースの構築を目的とし, ボクセルモデルの構築を試み, 第60回松本歯科大学学会おいて報告した. 現在この人歯モデルは, 本学の全学生が無料で利用可能な状態となっている. 今回は, 新たに52本の齲蝕歯モデルを作製したので報告す...

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Veröffentlicht in:松本歯学 2007, Vol.33 (2), p.245-245
Hauptverfasser: 永沢栄, 吉田貴光, 田村郁, 新井嘉則, 山田博仁, 笠原悦男, 伊藤充雄
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:【目的】現在医療分野においては, CT, MRI等の画像が一般的に使用されており, それに伴って人体の3次元モデルが多く作製され, 研究や治療, 学生の教育に盛んに活用されている. これに対し, 歯科領域においては, CTの導入の遅れも原因して3次元モデルすら存在せず, 教育分野における活用もなされていないのが現実である. 著者らは, 誰もが使用できる3次元人歯データーベースの構築を目的とし, ボクセルモデルの構築を試み, 第60回松本歯科大学学会おいて報告した. 現在この人歯モデルは, 本学の全学生が無料で利用可能な状態となっている. 今回は, 新たに52本の齲蝕歯モデルを作製したので報告する. 【方法】抜去された人歯52本を, 3次元マイクロX線CT(R_mCT, 理学)にて, 0.05mm×0.05mm間隔でX線撮影した. 得られた約35000枚の断層画像を, フォトショップ(Ver7.0, Adobe)を使用して, アーチファクトの除去と不必要な部分のカットを行った. 修正した画像を, Micro-AVS(Ver10.0, KGT)を用いて可視化した. 【結果ならびに考察】可視化した画像からは, 各歯のエナメル質, 象牙質, 歯髄の3次元形態を明瞭に把握することが可能であった. また, 齲蝕の形態のみならず, その進行状況をも把握することが可能であった. さらに, 齲蝕部の多くには複数の亀裂が齲蝕中央を貫通していた. この亀裂は, 抜去後の乾燥によるものとも考えられるが, 口腔内において既に発生していた可能性もある. 口腔内において既に発生していたものであるならば, 歯の破折に大きく関係していると考えられた. 以上のごとく, 今回作製した齲蝕歯モデルは, 齲蝕の形態や進行状態, 現実の歯髄の状態を3次元的に把握することが可能であり, 学生の学習や新たな研究方法の1つとして有用であると考えられた.
ISSN:0385-1613