3. rhBMP-2・アテロコラーゲンゲルを用いたウサギの顎骨欠損部再建の実験動物用μCTによる経時的観察

【目的】顎顔面領域における顎骨の骨折, 骨欠損に対する再建, 修復には骨形成たんぱく質(Bone morphogenetic protein;BMP)が重要な役割を果たしている. 近年, BMP遺伝子のクローニング成果の1つとして, recombinant human BMP(rhBMP-2)が合成された. 今回, われわれはウサギの実験的顎骨欠損モデルにrhBMP-2とアテロコラーゲンゲル(ACG)を用いた再建を行った. この再建過程を実験動物用μCT(R_mCT, 理学メカトロニクス, 東京)と組織学的観察を用いて, 経時的に観察, 検討を加えたのでその概要を報告する. 【方法】日本白色種...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:松本歯学 2005, Vol.31 (3), p.280-281
Hauptverfasser: 岡藤範正, 清水貴子, 渡邉武寛, 木村晃大, 栗原三郎, 新井嘉則, 古澤清文, 長谷川博雅, 川上敏行
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:【目的】顎顔面領域における顎骨の骨折, 骨欠損に対する再建, 修復には骨形成たんぱく質(Bone morphogenetic protein;BMP)が重要な役割を果たしている. 近年, BMP遺伝子のクローニング成果の1つとして, recombinant human BMP(rhBMP-2)が合成された. 今回, われわれはウサギの実験的顎骨欠損モデルにrhBMP-2とアテロコラーゲンゲル(ACG)を用いた再建を行った. この再建過程を実験動物用μCT(R_mCT, 理学メカトロニクス, 東京)と組織学的観察を用いて, 経時的に観察, 検討を加えたのでその概要を報告する. 【方法】日本白色種ウサギ計8羽を用い, 全身麻酔下にて下顎骨下縁の骨膜を剥離し同部顎骨下縁に6mm幅の骨髄に達する欠損を作製した. 同部にrhBMP-2-10μg(アステラス製薬)を含む1%ACGを充填し, 顎骨の外形に沿うようにポリ乳酸グリコール酸共重合体膜で覆い縫合した. 以後4週まで経時的にμCT観察を行った. さらに組織学的にも検討した. 対照としてはrhBMPを用いないものとACGも用いないものの2種を設定した. 【結果】μCT観察において, 術直後にみられた明らかな骨欠損部には, 実験5日後に骨髄側から僅かであるがX線吸収度の上昇があった. この範囲は経時的に拡大すると共に上昇を示し, 2週以降では骨欠損部全域に亘り, 4週目では明らかな骨修復を認めた. 組織学的には, 5日で円形や紡錘状の未分化な間葉系細胞の増殖が一部に認められ, 1週後には欠損領域の骨髄側から間葉系細胞の増殖によって一部に幼若な骨形成があった. 2週以降ではほぼ全域が幼若な細い骨梁で満たされ, 4週実験終了時に骨欠損部位に成熟された骨梁で満たされていた. 【考察】動物実験において骨欠損, 骨折モデルに, rhBMP-2を用いて骨形成を誘導するという報告は認められるが, その方法はまだ確立されていない. 今回, ACGをrhBMP-2の担体として用い, 欠損部に充満させてポリ乳酸グリコール酸共重合体膜で覆った. この部位を組織学的に観察した結果, 骨欠損部位への速やかな骨形成が確認された. これは実験動物用μCTによる経時的な観察で, エックス線密度の上昇として僅か5日目で観察することができた. その範囲は骨髄側より経時的に段階的に拡大され, これは骨形成の組織的観察に一致していた. 実験動物用μCTは, 麻酔下での生体で撮影が可能であり, 撮影時間も従来のシステムに比べ17秒と非常に短かった. この様に実験動物用μCTは実験動物を屠殺することなく骨の形成過程を観察することが可能となり, 非常に有用な方法であると考えられた. 【結論】rhBMP-2の担体としてACGを用いることで骨の速やかな形成が認められたこと, また実験動物用μCTはこの様な実験系における経過観察の為に極めて有用であることが明らかになった.
ISSN:0385-1613